前回は原稿作成についてご紹介しました。
今回は動画で講義形式を制作する際の進め方についてご案内いたします。
講師と読み上げ原稿
まず講師は誰をアサインするか。これは非常に大事です。eラーニングのコンテンツ化をする講義内容(用意した資料)について、日頃からプレゼンテーション・講義などで説明し慣れていれば良いですが、そうでないとナレーション原稿を書き起こす必要が出てきます。もっとも話慣れていたとしてもナレーション原稿が必要な方もいるので、原稿の書き起こしができるのかがコンテンツ化を進められるか否かの分かれ道となります。ナレーション原稿なしで進められたら良いですが、私の経験では原稿なしで動画収録できる講師役の方は10人に1人程の割合です。講師をされている方でも、事前に動画収録のために練習を重ねて本番収録に挑間れています。極端な例ですが、読み上げ原稿があるからといってナレーションをスムーズに収録が出来るとは限りません。つっかえたり、うまく読めなく何度もやり直すケースもあります。
ナレーション原稿はパワーポイントを黒地にして文字は白抜きにするのが読みやすいです。フォントサイズは、画面サイズにもよるので原稿と読み上げ原稿を用意する方が別の方の場合で、読み上げ原稿にアニメーションを付けている場合は要注意事項があります。
スライド1P内で説明する話している順番がアニメーションの順番やタイミングと合わない事態が発生する場合があります。なので読み上げ原稿なしの場合は、スライドの機能ではアニメーションはない方が無難です。動きが欲しければ動画の編集でアニメーションを付けることも可能です。
または、講師はナレーションのみで顔を出さないという選択肢もあります。しかし学習する方としてはスライドとナレーションのものよりは、講師が映像内に出ている方が学習に集中しやすいです。
撮影環境
今は動画ニーズが増えているので近くに動画を収録できるスタジオもあるかも知れません。設備や機材、広さも色々かと思います。グリーンバックで合成ができれば講義形式の動画は収録できるかと思います。なぜ合成するのにグリーンバックかというとグリーンが衣服で被らない可能性が高いからであり、グリーンでないと合成ができないという訳ではなく、ブルーバックでも構いません。ここでも注意事項としては、講師役の方がブルーライトカット入りや若干、色が入ったメガネをされている場合、光の反射具合で映像的にグリーンバックと同じ色の認識をもち、レンズ内が抜けてしまう場合があります。
それと収録時は専属のカメラマンがいる場合が多いので、それほど注意することもないですが、よっぽど遮音されたスタジオでないと、周囲の音が入らないように気を付ける必要があります。
いざ収録
収録スタジオには鏡があると思いますが、講師役の方は鏡をみて顔、口元のストレッチを行い、スタッフに遠慮せず、声を出してみた方が良いです。収録時は話のスピードよりも声を大きくする方のが気を使った方が良いです。ナレーションにつっかえたりするのは、当たり前なので気にせず、気持ちをこめて講義・ナレーションを行うことに集中した方が良いです。失敗してもリテイク・撮り直せば良いだけですし、完璧に一言一句、きちんと言えることはまず無いので、間違えたり、聞いていてストレスになるようなことが無い限りは、撮り直す必要もないでしょう。撮り直してもキリがないこともありますので。
気をつけることは、一旦、講義・ナレーションを止めたければ、1から2秒の間を置くことです。間があれば、収録再開したところから編集で繋げられます。間をおかずに、体を動かしたり、咳払いしたり、”あー”なんて言ってしまうと映像に切れ目がなく、編集しても途中で切れているような状態になるので、少し前のブロックから撮り直すことになります。
最後の言葉を読み上げて、「終わったー。」なんて体をぐったり倒してしまうこともよくありますが、これも編集ができる間がなく倒れ込むパターンなので、話の初め、話の終わりには2秒程度は静止してカメラ目線であるように講師役の方は務めた方が良いです。そして無理をしてでも笑顔の方が良いですね。
講師・ナレーターがどうしても用意できない場合は音声合成という選択肢もあります。音声合成ならライセンスがある前提ですが、例えば、翌年など一部差し替えとなっても、人を調整し撮り直すよりは、均一の声、声量で取り直せるのでメリットはあります。コストがそこそこかかることが難点でしょうか。
編集
動画編集の技術についてはここでは触れません。
グリーンバックを使ったクロマキー合成を行うなら、背景をどうするかを決めないといけません。書作権フリーの背景画像もありますし、画像を購入し合成することも可能です。背景等の画像はたくさんあるので、どれにするか迷うのも一つの仕事になります。そしてテロップをどうするか。一言で”どうするか”と言っても編集する方にお任せでも良いかも知れませんが決めるべきことはたくさんあります。最低限決めないといけないのは、何をテロップにするかです。話している内容を全てテキスト化し動画で見せたいということもあると思いますし、スピードと効率重視でテロップなし、強調したい単語のみ。という選択もあります。それと動画の最初と最後をどうするか。動画の最初はタイトルを記載した扉を用意するか、オープニングは形式を変えたものにするか。また動画の最後に何かメッセージを入れるか、フェードアウトにするか。など。おそらく何も言わないと編集される方が良き様してもらえると思いますが、後になってこうしたかったなんてことにならないように事前に決めておいた方が良いです。
アクティビティ
eラーニングのシステムによって出来る、出来ないがありますが企業内で自己学習教材、または研修の位置付けでeラーニングを展開する場合、学習管理で学習終了した。ということの記録の他に、確認テスト、修了テストといった客観的に習得度合いを測れるアクティビティが必要です。動画用の原稿とは別にExcel等で、テスト問題と解答・解説を用意するということになります。
修了テストを一つのアクティビティですが、飽きずに集中し学習して欲しいということから、より工夫する必要もあります。途中に対話形式を入れる。途中にアニメーションを入れる。途中に声だけでも別の方を入れて寸劇・ケーススタディのシーン仕立てにするなど、お金や手間もさほどかけないで出来るアクティビティはあります。
更新・後続コンテンツ
一度作ったら終わり、または一個作ったら終わりということでは学習も一過性のものとなってしまいます。継続的にかつステップバイステップで学習を進めて行きたいものです。それには最低でも年度で内容を更新したり、学習者の前提知識に応じてレベル違いのコンテンツを用意したり、もっというと体系的に学習が出来るように後続の学習コンテンツもあると良いです。
まとめ
動画で学習コンテンツを作成することは、比較的簡単です。なので内容の濃さやアクティビティの工夫をすることにも注力したいです。そして一つ作るだけではなく、前提条件の違う方向けのものや、体系だった複数のコースも用意したいです。誰にどうなって欲しいのか。そのために、この学習コンテンツがある。ということで一つ作るだけでも大変ですが、制作進行に慣れたり、コツ・要領を得たら案外と出来てしまうかも知れません。是非ともチャレンジしてみてください。
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