私たちの日々の業務における交渉は、まさにギブアンドテイクの成立、提供するものとその対価となるものの提供を受けることへの合意を求めるプロセスです。私たちが毎日自然に行っている活動が、じつはすべて交渉の一部と捉えることもできます。
考えてみましょう。日常的な行動、例えば、"約束を作る"、"条件を定める"などは交渉の一環です。ミーティングの日時を設定したり、お互いの条件を調整して時間を有効に使ったり、働く環境を改善するための行動を取ったり、生産性を向上させるための道筋を共有したり、スケジュールを進める方法を提案したりすることも、交渉と言えます。
ただし、一方的に同意を求めるのではなく、お互いの満足を追求することで、よりスムーズな協力体制を築くことができます。そして、交渉の成功は大いに自分自身(会社、組織、自社の製品・サービス)の準備に依存します。交渉のための準備では、"目標を設定する"、"目的や問題点を整理する"、"質問項目を準備する"などが必要となります。
成功する交渉とは、単に自分の立場を相手に理解してもらうだけでなく、相手のニーズや課題を正確に理解し対応するものです。これを実現するためには傾聴スキルが不可欠です。冷静かつ正確に相手の要求や考えを把握するために、話を注意深く聞くことが重要です。
自分の話を押し通し、相手の意見を尊重しないような行動は、交渉の成功を阻害します。だからこそ、相手に対する関心を示し、共感を持ちつつ、相手が話しやすい環境を作ることで、相手のニーズを深く理解することが大切です。
そして、表面的なニーズだけでなく、言葉には出てこない背景や状況、理由も理解する
ことが重要です。これを達成するためには、質問の技術が必要となります。相手の真のニーズを探り当てることができれば、双方が納得できる解決策を探しやすくなります。この能力は、社員一人ひとりが持つべき重要なスキルであり、個々の仕事だけでなく組織全体の生産性と効率性を向上させるための鍵となります。
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