研修企画の際の学習者への動機付け


従業員教育においては、学習者各人が学習したいという気持ちを持って学習に挑んで欲しいものです。全社教育や教育企画側が教育プログラムを遂行し学習するのがいわば強制的なものとなると、学習者はやらされ感を根本にもち、学習をただこなすだけで身に付くものにはなりません。逆に自己の気持ちから燃焼している学習モチベーションがあれば学習・知識習得もより効果的なものとなります。



効果の高いコンテンツを考える

それではどのように学習の動機付けを行ったら良いか考えていきます。

学習目標の達成のためは高い動機付けが重要になります。


物事を理解する際に、どうなっているとわかりやすいかというと順序だって説明されていることです。何かを学ぶということにおいてはテーマやゴール設定はコンテンツの説明として明示されているので、コンテンツの中身は順序だっている方が良いです。ビジネスでは結論を最初にというセオリーがありますので、案外と順序だっていなかったり、教材の元の資料がわかっている前提で言いたいことを並べているだけの場合もあり、それをリライトすると順序だっていなかったりします。


コンテンツ制作においても知識体系に適してコンテンツが構成されていることが重要となります。コンテンツ構成とはそれぞれの学習オブジェクトの役割の構造・順序を決定することです。

意味のある最小単位の単語、図、写真、アニメーション、文節を”オブジェクト”と定義するし、学習という意味づけでオブジェクトを繋いだものをラーニングオブジェクトとします。

ラーニングオブジェクトは、”学習内容”、”学習のアクティビティ”、”学習の指針”、”学習の動機付け”の役割を持ちます。このようなラーニングアクティビティを駆使する前提で、学習順序を組み立てます。基本はボトムアップで初歩知識を習得し、トップダウンで復習や確認を行えるように適切に組み合わせることが習得に有効とされます。



学習の動機付け


学習の動機付けということではARCS理論があります。アメリカの教育工学者であるジョン・M・ケラーが1983年に提唱した学習意欲向上モデルです。


学習を始める動機、学習を継続する動機、学習をやり遂げる動機など学習意欲を高めるためにどうしたら良いのかという要因をたどり下記の4つの側面に分けて考えるモデルです。


注意(Attention)

学習者の好奇心が喚起されるか否か、そして、それがいかに適切に持続するかどうかを指す。


関連性(Relevance)

学習者が教授活動を、個人的ニーズを満足させ、個人的目標を達成するのを助けるものと認識するかどうかを指す。


自信(Confidence)

学習者が学習にどれくらい成功できると知覚するか、また、その成功が自分自身のためであるとどの程度認識するかどうかを指す。


満足感(Satisfaction)

学習者が学習の結果をどうように知覚するかを指し、学習者の内在的な動機づけと外側からの報酬への反応にかかわる。


詳しい解説は専門書があるので記しませんが、簡単にいうと、学習を動機付けるために”惹きつける”、”成果が感じられる”、”役に立つ”という仕掛けを学習教材に組み込むというメソッドです。



学習を継続させるための工夫


本を読むのであれば、書籍のタイトルや中身を少々確認したり、カスタマーレビューを読んでみて、知りたい・習得したい・興味深い等、読了に向けた動機付けを得て本を手にします。

会社等組織内の学習機械で学習意欲を継続させるためにできることは、知識やスキル習得をすると実務の課題を解決できるといった必要性を認識できて、ボトムアップで知識習得ができる等わかりやすい体系、聞く、読むだけでなく自分に定着できる学習のアクティビティがある。学んだ知識を確認できる。学習内容の全体を鳥瞰できる。といった仕様にすることがあげられます。

具体的には、学習内容に正当性(網羅性)、学習期間や時間を設定している場合は、その妥当性、学習の動機付け、理解度を確認するための工夫、学習の分野特性を生かしている学習形態、実務に即している内容や新しさ、学習アクティビティといったことを仕掛けていくことになります。



学習内容の検討


その学習コンテンツの到達目標に合致している学習内容かということだけですが、学習者のことを考えるとインターネットや書籍等で自分で情報は取れるのであまりに簡単なものだと、つまらなく学習のモチベーションは弱くなります。学習者は学習する意味を見出さない(見出すことができない)とただ履修するだけになってしまいます。例えば1枚のスライドがあったとすると、その記載内容について深く解説する、場合によっては記載内容を増やしたり、分割してでも深く解説し、その1枚でしか学べない。この内容を学べて良かったと思われるような内容にしたいです。



学習後のイメージを提示する


学習後に学習者である自分は何ができるようになるのか。書籍の読者レビューが大事なように、その学習コンテンツで学習した方が「学習して良かった」、「実際に実務に活かせている」といった感想があると学習の動機付けを行う要因の一つにすることができます。そのためには学習後にアンケートを行うことですが、今はチャットツールや簡単にWebミーティングができるので、例えば数分間でも、学習終了した方とこれから学習する方がコミュニケーションを取る仕組みを取り入れるといったアクティビティも考えられます。もっというとこの人は何をしてきたのか、何を学んできたのかをトレースしモデル化するツールもあります。



学習の履歴


例えばFacebookを利用するのは何故ですか?自分が過去に投稿した履歴が残っているから使い続けるということも理由の一つとしてありますよね。履歴があるから利用する。自分の経験が記録されています。同じように学習履歴は重要な要素です。学習を止めたら今まで積み上げたものが無駄になりかねません。これだけやったから、今日も学習しようというのは強力なモチベーションになります。なので学習履歴は視認性よく見れるようにするようにした方が良いです。

そういう意味ではあるマイルストーンに達成したらバッチがもらえるなどゲーミフィケーションは近いかも知れません。



まとめ


・動機付けを高める仕掛けを意識して用意する

  ARCS理論など学習の動機付けとして確立されているメソッドを自分なりに解釈して取り組んでみるのも一計です。


・実務と学習が深く結びつけるための分野別や階層別、レベル別にラーニングオブジェクトを整理する

  取り組む工数も増え、ラーニングオブジェクトが増えてしまい一手間にはなりますが全ての従業員が同一の学習コンテンツで目的が達成するのはまずないかと思います。前提知識や経験・職種に応じてパターンを用意し学習者が学習コンテンツを通じて学習目的に到達できるものとしたいです。


・知識体系を網羅する

  学習項目を整理し、学習目的に到達する内容になっているかを確認し過不足がないか。余裕があれば、モニター学習して期待するスキルレベルに到達可能かを判断する。


・試験問題を利用する

  ボトムアップ的に知識習得をしたらトップダウン的にテスト問題を使って理解度を測ります。テストが備わっていると学習のモチベーションを高めることになります。


・シミュレーション型のラーニングオブジェクトを用意する

例えeラーニングを利用するとしても見て・聞いてだけではなく、別のアクティビティを設けて学習内容を身に付けたいものです。利用しているLMSに限定するのではなく討議やロールプレイング等、柔軟な発想を持って学習目的に到達させるということですね。


2回の閲覧0件のコメント

最新記事

すべて表示