eラーニングというとブラウザを通じて音声やスライド、動画、またはテストを実施するものです。そしてLMSは一般的に学習管理システムと言われeラーニングを実施するためのプラットフォームといえます。
LMSはインターネットを利用した学習プラットフォームであるだけでなく教材作成の機能や研修受講管理、アンケート・レポート機能等も含め誰がいつ何を学習したのかを組織的に管理する機能が備わっています(各社LMS製品により機能のある・なしあり)。
ですので企業内で従業員が学習できるの仕組みと学習履歴を管理し、スキルアップの習得を運用するものとしてLMSが活用されております。
eラーニングは個人でも法人でも学ぶために利用する(有償のもの無償もの含めて)ことができて、LMSは個人利用ではなく企業等の組織が導入して学習管理システムという位置付けとして人材育成に利用することになります。
LMSの主な機能※
・eラーニング利用
LMS内の学習機能を使ってeラーニングのコンテンツをアサインや承認を得て学習を行い ます。動画タイプのコンテンツやスライド、テスト(設問)などから学習やテストを実施 します。パソコンに限らずスマートフォンを利用できることも一般的になりました。
・学習進捗管理、成績管理
誰が何を学習しているのか、その進捗率は何%なのか。理解度テストがあればテストで何点取得したのか。
過去の学習履歴や成績を含めて学習管理者や上司は成績を把握します。
・教材作成機能
自社のノウハウ、ナレッジ、製品知識、コンプライアンス等のルールをパワーポイント等 にまとめて、それをLMSの機能を利用し学習コンテンツ化して全社教育や該当となる従 業員に対して学習の機会を用意します。
・ユーザ管理
組織登録、グループ登録、権限ロール設定を行い全社教育、新入社員研修、階層別などの区分けで学習を実施する。
組織登録により、例えば上司が部下にアサインする、学習希望者が上司(または研修担当)に学習承認を得て学習を開始し予算管理、スキル管理を実施するというフローになります。
・体系的な学習
各従業員の学習進捗状況または、スキルや経験に応じて計画的にコンテンツを用意し修了状況に合わせて次の学習コンテンツを利用できるように活用します。
・学習履歴とスキルの関係を可視化
会社が持つスキルの定義をLMSに搭載し、このスキルや経験を保有する従業員に対して この講座をアサインするといった体系的な学習を促進したり、または、こういったスキル を保有する方がどんな研修を受けてきたか、どんな経験を得てきたかの記録からモデル
ケースを作成します。スキルモデルを明確にし到達するために知識や経験の道標を立てます。
※上記は各社LMSによって実装されていない場合もあり、機能は異なります。
LMSのこれまで
eラーニングは今でこそインターネットだけで簡潔するイメージですが過去を振り返るとCD-ROMを使いオフラインで学習して受講履歴など機能の一部をアップロードするものなどがありました。パソコンのローカル環境で特定の技能について学習するものなので、自己学習教材という意味合いが強かったです。インターネット環境の発展とともにeラーニングも進捗把握等の管理も容易になり、企業として従業員に対し効率よく学習する機会の提供ができるようになり、特定の技能習得から全社で学習する必要のあるコンプライアンスなど利用対象の範囲も拡がり人材のスキルを組織的に向上、管理できるeラーニングのプラットフォームとしてLMSが普及し始めました。
LMSの現状
テレワーク、リモートワークが進み研修会場に集まって研修を受けるということが減っています。個々人が自分の時間、自分が身につけたいスキルも多様化していることからも個別ニーズに対応しやすいeラーニングの利用は拡大傾向にあります。
eラーニング市場に関する調査を実施(2021年)
eラーニングシステムも機能が豊富になる傾向はあります。しかし企業として人材を組織的に管理し、さまざまな種類やタイプの研修提供を行い受講管理していく上ではLMSの方が適切な選択と言えます。
人材育成の管理・運用をトータル的に実施する機能が搭載されている分、導入や運用もeラーニングよりは大掛かりなものとなりますが、企業は一般的に人材育成や研修管理を重視しているので様々な業種、業態で採用されております。
LMSの利用目的
LMSは従業員が知識・技能向上できる研修実施と管理をするポータルサイトとなるので研修実施や研修受講管理が主な利用目的となります。一言で研修実施と言っても座学研修、eラーニング、実地研修など様々な選択肢があります。
今ではグループワーク等のアクティブラーニングの概念も持ち込まれ始めました。
学習アクティビティが豊富で学習のしやすさ、組織的な学習展開、学習コンテンツの豊富さで学習効果も出やすくなります。
LMSを利用する方のメリット・デメリット
担当者側
○メリット
LMSがあると学習の習得状況や受講履歴について一元的に管理することが可能になります。この人はいつこの研修を受けたということが管理しやすくなるので、受講後の評価により今後、受講する際の明示的な参考とすることもできます。また受講状況をリアルタイムで把握できます。
データ連携面
LMSはクラウドタイプにせよ企業として利用するシステムとなるので学習結果や成績を人事データベースと連携したいという要望がありシステムによりますが対応している製品もあります。
○デメリット
オンプレミスとして自社にLMS環境を構築するとなるとデータベースやサーバ構築なりシステム導入が必要となるためシステム導入費用や導入までの期間も数ヶ月単位で必要となります。
今はクラウド型のLMSも増えているため導入も初期設定だけのクラウド型LMSもあります。ただ初期設定といっても人材育成(受講)のフローをLMSに加味したり、登録ユーザのロールや階層、権限などなど設定や準備項目も多岐に渡るため、そこそこの時間は必要になります。
学習者側
○メリット
社会人も変化対応力や自身の技能をあげないと変化の早い社会についていけなくなります。自分が学びやすい方法があるかも知れませんが会社がオンラインで学習できる環境やコンテンツを用意してくれているわけで利用しないてはありません。
○デメリット
グループディスカッションや演習ができないということがマイナス点になることがありますが、他のWebツールを使ってグループメイトと時間を合わせWebミーティングのツールを使い記録やアンケート、成果物をLMSで管理するという方法もあります。
まとめ
LMSというとシステム構築が必要となったりクラウド利用としても最低利用費用があるので従業員数(利用者)が少人数だと費用面および導入準備に時間をかけるということもあるので見合わない判断もあります。しかしながら企業は必要な知識や技能を体系的に行い人材育成を遂行していくことが必要です。よって費用的にも導入工数的にも企業が導入しやすくなるような製品が増えています。一方、高機能、高コストのものは人材育成に付帯する機能も拡充しHRM(ヒューマンリソースマネジメント)に近づいているということもあります。
自社の状況やあるべき姿に合わせられるような選択肢が増えています。
すでにLMSを導入している企業も多く、どちらかというとリプレースの検討も多いのかも知れません。学習コンテンツの豊富さ、良し悪し、積極的に利用できるか(しているか)がLMSを効果的にする鍵ですね。
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