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動画教材コンテンツの作り方

学習教材というと、どのようなタイプを想像するでしょうか。数年前ならFlashで作成され音声やアニメーションで作られたeラーニングが主流でしたが今はMircosoft PowerPointをもとにしたスライド原稿から音声やアニメーションをつけて動画に変換しLMSにアップロードしたり、動画を作成してアップロードするなどが多いと思います。



課題認識と対象者の前提知識

動画教材にせよ、やはり”誰にどうなって欲しい”という起点からどんな教材が必要になるのか。課題解決の起点を明確にしないといけません。誰にという部分を欲張って、または楽に進められるように”誰でも”としてしまうのは早計です。

課題認識を行い上司含めチームで明確な認識を持つことが推進しやすさにも繋がります。課題を何と認識するのか。

例えば、情報セキュリティ規定によって年に一回、全社教育を実施することが決まっている会社は多いです。情報セキュリティ担当者が用意したスライド原稿をもとにナレーション録音し動画コンテンツ化して全社で学習する。となりますが同じコンテンツで全社教育を行うと学習者によって知り得ている知識が含まれている場合も多いので強制的な学習でつまらないという意識ができてしまいます。前提知識を設計して章の説明内容やレベルを変えたものを用意するだけで学習意欲も変わります。その結果、修了度や習得度をあげるコツになってきます。一例ですが、初級・中級・上級と前提知識を分けて、1つの学習スライドでも3つのレベルに応じて一部の章を用意し、別テイク版を作成するということです。おそらく原稿を編集する上では、この章は少し難しいな。とかこの章は簡単だな。といった内容があるはずです。そこをレベルわけで別テイク版を用意するということです。ただでさえコンテンツ制作は手間なので、作業を増やしたくないということが勝ってしまい1つで済ませてしまうことになるかも知れませんが、せっかく作るのなら、仕方がなく学習してもらうより、少しでも勉強になった。ためになった。と思われる学習コンテンツを用意したいものです。

まずは課題認識と対象者の前提知識を設計するということが大切になります。



もと原稿の編集・制作の進め方

次にスライドは用意できたけれど、ナレーションは無くて良いのか?という判断があります。ただスライドをみて、読むだけというのもPDFやPowerPoint資料を見れば良いだけになるので、わざわざeラーニングにする必要もありません。極論、PDFを配布してテストだけeラーニングのシステムを利用すれば良いということになります。

ナレーションを入れるとなると誰が読み上げるのか。講師的に説明できる方がいれば良いが、読み上げ原稿を用意する必要があるのかどうか。

スライドの体裁はこれで良いのか。など。コンテンツ原稿の編集・執筆には大きな労力が必要となるので、さける時間を加味しながらどこまでならできるのか、または出来ないのかの判断をすることになります。ナレーション原稿は一般的知識であれば誰かしらアサインが可能かも知れませんが、専門性の高い内容となると書ける方も限られていることから、その方が対応できる余裕があれば良いですが、忙しければ手がつかないまま時間ばかり経過してしまうということになってしまいます。



スライド原稿の制作・(再)編集

Microsoft PowerPoint をベースで原稿制作を考えてみます。

原稿の体裁

Microsoft PowerPointで新規ファイルを開くと古いバージョンでなければ16:9のレイアウトになっています。16:9はPCの画面にあった形で言わば動画も含めて標準的な体裁です。16:9で動画を作成するとスライドサイズと合致します。なので講師を動画中に登場させたいとなるとスライドの前に位置付けられるレイアウトになります。

一方、4:6サイズのスライドのものを動画化すると端にスペースが出来てしまいます。

スライドだけで教材化しようとすると、そこのスペースに色をつけるなり何かしらデザインをしないと黒いスペースだけになってしまいます。ただし講師を合成する場合は逆に4:6の方がもともと空きスペースがあるので、そこに固定的に講師を位置付けることができるので4:6の構成もメリットがあります。

4:6の場合は、スライドと被らないで講師のスペースがある。

16:9の場合は、スライド上に講師が被さる。

ということです。好みですが私はスライド上に講師が被さっている方が臨場感を感じ集中しやすいです。


フォントサイズ

私は24point以上が望ましいと考えておりますが、もともと作成した資料では、文字が詰め込まれていて12pointなどもあるかと思います。参考程度のテキストであればこのサイズでも良いかも知れませんが、スマートフォンでも学習コンテンツを視聴することもあるかも知れません。学習者視点で文字の大きさが問題ないかどうかは事前に確認する必要があります。

もしフォントサイズを大きくしたいとなると、かなりのレイアウト変更が必要となります。もともと1ページだったスライドを複数ページに分けることになる場合もあります。1ページにあるという認識を変えて、そのページで伝えたいことを分解し、例えば3ページに渡ってしまうなら、3ページにかけて、もともとの1ページを説明するといったイメージで編集するのがコツになります。


フォントタイプ

明朝体なのかゴシック体なのか。細かく見れば色々な書体があり、どの書体が読みやすいか、考えても迷うばかりということになりかねません。例えば太字を使用する箇所があれば、フォントには太字にはなるが、ただ輪郭にフチをつけているだけの擬似ボールドだったりするフォントもあるので、ある程度の基礎知識をつけておきたいものです。私のおすすめは、”メイリオ”、”游ゴシック”、”游明朝体”が綺麗に見えるフォントと考えております。


写真やイラスト

文字ばかりでは学習の意欲は削がれてしまうので写真やイラストを原稿に挿入します。

写真やイラストを引用するのであればその著作権を確認する必要があります。文章もそうですが、何か著作権のある記事を引用するのであれば引用元の記載をする必要もあります。


著作権フリーの写真やイラストもありますが、1点良いものがあっても学習コンテンツば複数ページあります。他のページでもイラストや写真のテイストにおいて統一性を持たせたいです。イラストであれば複数のポーズが揃っているもの。写真であれば、あるテーマにそって複数、テイストが近いものあることを確認してから選定したいです。費用はかかりますが有料版の方が、テーマにそった素材を選びやすいですが、探すのも大変なので発注して作ってしまうということも良い選択かと思います。イラストを書き起こしても費用はそれほどかかるものではないかと思います。


体裁はグラフや写真、イラストを配置すれば良いというものでもありません。全体を通してある程度のレイアウトパターンも考えないと、ページが変わると書体の大きさがバラバラだったり、写真の位置や大きさがさまざまであったりすると学習内容でなくページ認識に意識をさいて学習の集中度合いをかいてしまいます。

色使いについては、簡単に書くとありきたりなものになってしまうので1点だけ、グラデーションは動画などフォーマットを変換すると意図した色彩がでない場合があるので使わない方が無難です。


作成・編集した1ページで何分間しゃべれるか。長く話せば良いというものではないですが学習者がスライドの文字を読んで終わってしまってはeラーニングにする必要性も弱くなってしまいます。そして記載された文章を読みあげるだけではコンテンツとしての魅力は半減してしまいます。記載は要点、要約、イラストや図版で良いのですがナレーションは深堀りした説明があった方が良いです。注意点としてはもしMicrosoft PowerPointでアニメーションを利用していると原稿なしで講義すると講義内容とアニメーションの動きが合わなくなる場合があるので、もしアニメーションを多用する場合は読み上げ原稿を用意した方が無難です。


まとめ

Microsoft PowerPointで作成されたファイル(資料)があるので、その資料を元にしてeラーニング化することも多いかと思います。その資料をもとにeラーニングにする際はデザインに凝る必要はないですが、統一性を持たせたフォントやレイアウトにするだけで内容が伝わりやすくなる場合があります。そして、このコンテンツで学習することによって誰にどうなって欲しいのか。という視点で内容の取捨や追加を行ったり、学習者の前提知識によってレベル分けした原稿を用意するなどeラーニングのコンテンツを作るという視点、並びに学習者の視点に立って原稿を再編集することをお勧め致します。


今回は下地となる原稿制作・編集に焦点をあてて考えてみました。次回に続く。



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