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社員教育用の教材を作る


今回は会社が保有しているナレッジを新入社員に理解・習得して欲しい際の社員教育用教材の作り方を考えていきます。



伝わり・理解できる


教材を作成する上では学習者に”伝わり”・”理解できる”ということを念頭に置きます。

もっというと、下記の3段階をゴールとします。


  1. 情報や事象を知る、理解する

  2. 学習者が学習内容を自分のものとする

  3. 後で学習内容を想起し必要な場面で利用できる


想定の教材を何にするかですが、社員学習用として制作する学習内容は、コンプライアンス関連や自社のサービスに関わることが多いのではないでしょうか。

例えばPマークを維持するには個人情報保護に関して全社教育を行う必要があります。ということで、情報セキュリティの教材作成を想定して考えていきます。


担当者が教材を作ろうと、パワーポイントで事例や法令を紹介した内容を10ページ程度にまとめて、パワーポイントの機能でアニメーションを利用し、飽きない工夫をしながら動画に出力して完成させてしまう。誰が担当してもこのような流れで社内資料を教材化していきます。

おおかた、一人で作業をこなすので、作る、完成させることに集中してしまい学習させる目的よりも完成を目指してしまいます。



完成した教材コンテンツを冷静に見るために担当者の視点になってみましょう。


担当者:A

自分が一生懸命に作成したものなので、内容は100点とは言えないかも知れないですが、それなりには内容を詰め込み網羅性重視でパワーポイント資料は作りました。

なので、「1.情報や事象を知る、理解する」は知らなければいけないことを網羅はさせていて最新情報も盛り込んだのでOKと考えています。


「2.学習者が学習内容を自分のものとする」ことに対しては、学習しやすい見た目を含めた構成になっているかを注意して作りました。なるべく文字だらけにならないように、図や写真も入れ文字の大きさも小さくならないようにしています。

それから、自分がこの内容を学習した際に、”なるほど”、”初めて知った、””理解できた”と思えるかということに主眼を置いて原稿や構成をチェックしてます。1枚のスライドで情報を盛り込みすぎず、ここでは何が言いたいのか、明確になるようにしました。


「3. 後で学習内容を想起し必要な場面で利用できる」については学習内容を充実させることはできても、その後については本人依存になるのが事の本質にはなってくるので、どれだけ真剣に学んでくれるのかにはなるかと思いますので、2.のポイントに力を入れた内容にしています。


それでは、より学習者に伝わり・理解してもらうためには改善ポイントはないでしょうか。



1.情報や事象を知る、理解する





“ 1. ” について、こうするしかないという事をやっているので、これ以上どうのこうのということもないですが、ここでは網羅性を意識して情報を集めようとしたら、たくさんの情報が出てきてしまうことにもなるので、目的を忘れないようにするということです。情報を集めてから整理立てるということでも良いですが、何のための学習で学習者が学習し終わった後にどうなって欲しいのかというビフォーアフターのエネルギーダイヤグラムを最初に作った方が望ましいです。その指針があるとないとでは効率性を含めて成果物に差が出ます。一人で設計するのではなく他の方とディスカッションしながらの方が色々なアイデアがでて、想像も膨らみ作業もはかどります。



情報と情報の関連性、粒度・深度


形があると作りやすい

例えば構成法には、起承転結があります。資料をまとめる上で何か自分でしっくりとする骨格となる構成の枠を事前に用意しておいた方が良いです。単純に考えると誰にどうなって欲しいのかを構成するため資料をどう構成するか。ということだけです。例えば文章構成のフレームワークには、PREP法・SDS法などがありますが、フレームワークに当てはめてあてこんでいくことになります。

情報の関連性や深度については、私自身はマインドマップを使います。中心にテーマを書いて、関連する事項を枝分かれ的に記載していくものなので完成形だけ見ると、難しそうと思いますが、私は簡易的に左に課題やテーマを書いて、三つ程度に枝分かれさせて関連項目を書き込んで行きます。階層も3つ程度で整理が付くので、時間もそれほどかかりません。



情報量(コンテンツの尺・長さ)

よく言われがちなことで、教育コンテンツの尺が長いと見ないから簡潔に。という指向がありますが、あまり短いもので、観る(学習する)価値があるのでしょうか。分で区切ってコンテンツを作成するという手法ですが、分に区切ったコンテンツが複数になったとしても、その尺内で目的となることが伝え切れれば良いですが、決められた分(尺)でコンテンツを教材を作成するのは難易度が高いです。また数分尺のコンテンツが複数あるとして、例えば5分あるから勉強しようとしても、頭の切り替えも必要です。何かタスクに取り組もうとした時に30分や1時間を用意するということが多いのではないでしょうか。内容にもよりますが目的を達成するために整理だった情報を盛り込むわけなので時間で区切るように制作するのは出来上がった結果で、どうするかということの方がスマートです。



2.学習者が学習内容を自分のものとする



研修講師が良く”腹落ちする”という言葉を使います。学習者が、教わっている内容を真に理解し納得できている状態を指しますが、学習してもらうからには腹落ちして欲しいものです。

教材の作り方だけでは理解を促進することに限界があるので教材コンテンツを飛び出したところで何か演習などを行う必要があります。理解度テストを用意することが一般的です。ディスカッションを行う、共有のボードで考えを書き出し、まとめる作業をする。など学習としてインプットしたものを今度は自分なりに考えアウトプットをしてみるということで理解を深めるということですね。一人ではできないので何人かのグループで行うことで身に付く、理解を深めるラーニングアクティビティとなります。



3.後で学習内容を想起し必要な場面で利用できる



これは実践になるので1.2でどれだけ理解し、訓練を経ることができるかによります。この場面で使ってみた。などは研修数ヶ月後に討議会を設けることで、実戦で利用した方の話を聞くことや、質問、討議を行い実例を学ぶことで、更なる理解の場とすることも可能です。



まとめ

OJTを含めると何らかの社員教育は、どの会社でも行っています。社員教育を無理に行っても忙しい従業員の学習モチベーションが弱いから効果がでないという状況も多いかと思います。従業員として知っておくべきことを本人任せにして問題が起きてしまうことを防がないといけません。コンプライアンス、ハラスメント、情報セキュリティ、業務知識等を会社としては学習の機会を用意する必要があります。


自分にしっくりくるフレームワークを使い、情報の粒度も整理立てながら組み立ててみる。レビューをして理解できるか。なるほどと思えるかといった評価をもらい、コンテンツの順番や内容に加筆修正を加える。章単位にして小見出しだけで、何を学べるのかを理解できるものにする。そして学習内容だけでなく、学習した内容を討議できる場や実践で利用してみた体験談の場を学習数ヶ月後に設定する。といったことができれば、よりいっそう伝わり・理解できる教材が作れます。




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