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学習効果の高い教材をAIは作れるのか。7つの条件を2026年の技術で検証する


2023年4月、当社は「高い学習効果を生む学習コンテンツとは?」という記事で、良い学習コンテンツが備えるべき7つの条件を挙げました。

目的に沿った内容、分かりやすさ、適切なレベル、インタラクティブ性、繰り返し学習の機会、フィードバックとサポート、適切なペーシング。この7条件です。


あの記事の結びは、「コンテンツ制作者や教育者は、これらの要素を意識して、より効果的な学習環境を提供することが求められます」というものでした。

当時の私たちは、この7条件の重要性は理解していましたが、教材を作るたびにすべてを実現できていたわけではありません。今回は、2026年のAIがこの7条件をどこまで教材制作の工程に取り入れられるようになったのか、3年前の記事に正直な答え合わせをしてみたいと思います。


先に結論を言えば、2026年のAIは、7条件の多くを現実的な教材制作の工程に落とし込めるようになりました。ただし、7条件をAIだけで完全に満たせるわけではありません。AIが教材のたたき台を作る役割、学習プラットフォームが配信や反復を支える役割、そして人が内容を判断し、学習者を支援する役割を分けて考える必要があります。



3年前、私たちはこう考えていました


2023年当時、この7条件はいずれも「分かってはいるが、毎回すべてを実現するのは難しい」という感覚がありました。


目的や対象者のレベルを細かく設定し、理解しやすい順序で内容を構成する。そこに確認問題などのインタラクティブな要素を組み込み、繰り返し学習の機会やフィードバックまで用意する。これを一つの教材ごとに丁寧に行うには、相応の時間と人手が必要でした。

そのため、重要性を理解していても、限られた制作期間や予算の中では、どこかを簡略化せざるを得ないこともありました。教材の本文は作れても、復習の仕組みまでは用意できない。確認テストは作れても、一人ひとりへのフィードバックまでは設計できない。そのような状況です。


生成AIが教材制作に使えるようになった現在、この負担は確実に軽くなっています。ただし、改めて7条件を見直してみると、AIが担えるかどうかという以前に、条件そのものの捉え方が、それほど単純ではないことにも気づきました。



7条件は、教材だけで満たせるものではない


改めて7条件を見直すと、これらはすべて「教材そのものの条件」ではありません。

目的、分かりやすさ、レベル、ペーシングは、主に教材の設計に関わる条件です。一方、インタラクティブ性や繰り返し学習は、教材の内容だけでなく、それを配信する学習プラットフォームの機能にも左右されます。フィードバックとサポートには、上司や研修担当者など、人の関わりが欠かせません。


つまり、「AIは良い教材を作れるか」という問いだけでは、7条件のすべてを語ることはできないのです。

AIが担う教材制作、プラットフォームが担う学習運用、人が担う判断と支援。この三つを組み合わせて考える必要があります。



7条件を、AI・プラットフォーム・人の役割から見直す


3年が経ち、生成AIが教材制作に使えるようになった今、この7条件を一つずつ見直してみます。


① 目的に沿った内容


学習コンテンツを作るうえでは、最初に「誰に、何を学んでもらい、学習後に何ができるようになってほしいのか」を決める必要があります。

当社のコンテキスト化メソッドでは、社内資料に含まれる内容や対象業務をもとに、学習目標の案を整理します。資料の中から重要な知識や手順を抽出し、どのような目的の研修にできるかをAIが提案することは可能です。


ただし、資料に学習目的が明確に書かれているとは限りません。また、同じ資料であっても、新入社員に基礎を教える場合と、経験者に判断力を身につけてもらう場合とでは、目指す成果が異なります。


AIは学習目標のたたき台を作れますが、「この研修によって、社員に何ができるようになってほしいのか」を最終的に決めるのは、研修を行う企業側の役割です。


② 分かりやすさ


分かりやすい教材を作ることは、当然の条件に見えます。しかし、実務では「分かりやすさ」の基準が一つではないことに気づきます。

丁寧に説明すると、「簡単すぎる」「まどろっこしい」と感じる人がいます。文章を短くすると、「前提が省かれていて分からない」と感じる人もいます。専門用語を避けることで理解しやすくなる場合もあれば、経験者にはかえって回りくどく見える場合もあります。


つまり、分かりやすさは、伝える相手の知識や経験、学習する場面によって変わる相対的な

指標です。


AIは、専門的な文章を平易に書き換えたり、説明の長さや語彙を調整したりできます。しかし、「誰にとっての分かりやすさなのか」を定め、生成された説明が実際の学習者に適しているかを判断する役割は、今も人に残っています。


③ 適切なレベル


適切なレベルの教材を作ることにも、分かりやすさと似た難しさがあります。

学習コース全体を「入門」「実践」「習熟」といったレベルに分けることはできます。しかし、その境界を測る統一された物差しがあるわけではありません。同じ内容でも、ある人にとっては基礎であり、別の人にとっては高度な内容になります。


AIは、同じ社内資料から、入門者向け、実践者向け、習熟者向けの構成案を作ることができます。基礎用語を中心に説明する、現場での活用方法を加える、例外対応や判断条件を扱うといった調整も可能です。


一方で、その分類が自社の社員の実態に合っているかは、企業側で確認する必要があります。AIはレベル別教材の案を作れますが、そのレベルの物差しを決めるところまでは、まだ人の判断に頼る部分が大きいのが実情です。


④ インタラクティブ性


学習者が一方的に文章を読むだけでなく、回答したり、選択したり、結果を確認したりできることは、学習への参加を促すうえで重要です。


AIは、教材の内容に基づいて確認クイズや選択問題を生成できます。これにより、教材を作った後に、担当者が一から問題文や選択肢を考える負担は軽くなりました。

ただし、インタラクティブ性は、教材の内容だけで実現できるものではありません。クイズを画面上で表示し、回答を受け付け、正誤を判定し、解説を返すためには、それを配信する学習プラットフォームの機能が必要です。


AIがインタラクティブな要素を設計し、プラットフォームがそれを実際の学習体験として提供する。両方がそろうことで、初めてインタラクティブな教材になります。


⑤ 繰り返し学習の機会


一度学んだだけでは、内容は時間とともに忘れられていきます。そのため、適切なタイミングで復習し、記憶を呼び戻す機会が必要です。


AIは、教材の内容から復習クイズや再確認用の問題を生成できます。しかし、クイズを作るだけで、繰り返し学習が成立するわけではありません。


いつ復習を促すのか。誰に、どの内容をもう一度提示するのか。正答率が低かった部分だけを学び直してもらうのか。こうした運用は、学習プラットフォームや研修担当者の設計と組み合わせる必要があります。

当社でも、正答率の低い箇所を検出し、学習者ごとに復習内容を提案するといった、より踏み込んだ仕組みの開発を進めています。AIによる問題生成は実現できていますが、個人の理解度に応じた反復学習については、今も発展途上の領域です。


⑥ フィードバックとサポート


受講者の進捗やスコアをダッシュボードで可視化することで、研修担当者や上司は、誰がどこまで進んでいるのか、どの内容につまずいている可能性があるのかを把握できます。

しかし、データを表示することと、学習者にフィードバックを届けることは同じではありません。


たとえば、正答率が低いという結果が出ていても、その原因が知識不足なのか、問題文の理解が難しかったのか、業務経験が不足しているのかは、数字だけでは分かりません。学ぶ人の状況を見ながら、「ここをもう一度確認してみよう」「実際の業務ではこのように考える」と声をかける必要があります。


AIやデータは、その声かけを行うための手がかりを提供できます。一方で、つまずきの理由を読み取り、励ましながら学習を支える役割は、今も人が担う部分が大きいと考えています。


⑦ 適切なペーシング


教材の情報量や学習の進み方を適切に設計することは、以前から難しい課題でした。

ページ内の情報を簡潔にしたい一方で、伝えるべきことを削りすぎると、説明が中途半端になります。その中途半端さを避けようとすると、内容が増え、結果として情報量の多いページになってしまいます。


これは、当社が教材制作の現場で何度も向き合ってきた葛藤です。

AIは、内容を基礎から応用へ段階的に配置したり、一つのテーマを複数の短いスライドへ分けたりできます。学習シーケンスを設計することで、一度に提示する情報を調整することも可能です。


しかし、「これ以上削ると説明不足になる」「ここまで書くと一度に理解するには多すぎる」という境界は、教材の対象者や目的によって変わります。削りすぎず、詰め込みすぎない適切な量を判断するには、今も人の感覚と経験が必要です。



2026年のAIは、7条件をどこまで満たせるのか


7条件を見直した結果、2026年時点でAIが比較的担いやすいのは、学習目的や構成の案を作ること、説明文を生成すること、レベル別の教材案や確認クイズを作ることです。

分かりやすさ、適切なレベル、ペーシングについても、AIが案を提示することはできます。しかし、その案が実際の学習者に合っているかという最終判断は、人が担う必要があります。


インタラクティブ性と繰り返し学習には、AIに加えて、回答、採点、再配信、進捗管理などを行う学習プラットフォームが必要です。フィードバックとサポートについては、AIやデータが手がかりを示すことはできても、学習者に寄り添う部分は人の役割として残ります。

つまり、学習効果の高いコンテンツを作るために必要なのは、「AIにすべてを任せること」ではありません。


AIが教材のたたき台を作り、学習プラットフォームが配信と反復を支え、人が内容を判断して学習者に寄り添う。この三つが組み合わさることで、7条件を備えた学習環境に近づけるのだと思います。



正直に言うと、まだ満たせていない部分もあります


7条件を見直して分かったのは、AIが実現できるかどうかという以前に、条件そのものに曖昧さが含まれているということでした。


特に、分かりやすさ、適切なレベル、ペーシングは、作り手の主観や学習者の経験によって評価が変わります。インタラクティブ性や繰り返し学習は、教材を配信するプラットフォームにも左右されます。フィードバックとサポートは、進捗を可視化しただけでは実現できず、人の関わりが必要です。


これは、AIの弱点を隠さずに認めるということだけではありません。当社が一貫して大切にしている教材制作の考え方にもつながっています。


資料に書かれていない情報を、AIが勝手に補って説明を厚くすることはしない。AIが下書きや構成案を作り、人が確認して仕上げる。学習プラットフォームが配信や進捗管理を支え、必要な場面では人が学習者へ声をかける。


7条件のすべてをAIに委ねるのではなく、AIが担える部分、学習プラットフォームが担う部分、人が担うべき部分を正直に切り分けることが、誠実な教材づくりだと考えています。



まとめ。分かっていたことが、実現しやすいことに変わった


3年前、私たちは7条件を「分かってはいるが、実現するのは大変だ」と感じていました。

2026年の今、AIによって、7条件の多くを教材制作の工程に取り入れやすくなりました。以前は時間と人手の問題で実現しにくかった構成案の作成、レベル別の展開、確認クイズの生成なども、現実的な制作時間の中で試せるようになっています。


ただし、7条件のすべてが自動化の対象になったわけではありません。何をAIに任せ、何を学習プラットフォームで実現し、どこから先を人が担うのか。その役割分担を見極めることが、これからの教材制作において重要になります。


良い教材を作ることと、良い学習環境を作ることは、同じではありません。教材の内容、配信の仕組み、人による支援がつながって、初めて学習効果の高い環境になります。


社内資料から、7条件を踏まえた学習コンテンツを組み立てる仕組みについては、こちらのページで詳しくご紹介しています。初月無料、クレジットカード登録不要でお試しいただけます。

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