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企業規模で差が出た「従業員教育の体系化」。250名調査をクロス分析


従業員教育に関わる教育担当者・経営者250名を対象に実施した調査では、社内資料やノウハウを教材として十分に活用できていない人が43.2%、従業員教育を十分に体系化できていない人が34.8%となりました。


この結果を公開した後、「企業規模によって、教育の課題は異なるのではないか」というご質問をいただきました。

確かに、従業員数が数十名の企業と500名を超える企業では、教育体制も教材制作に関わる人数も異なります。全体の結果だけでは、その違いが見えなくなっている可能性があります。


そこで、調査前に実施したスクリーニング調査と本調査の回答者IDを照合し、企業規模別のクロス集計を行いました。

その結果、企業規模による統計的な差が確認されたのは、「従業員教育の体系化」でした。



10〜100名では、55.9%が教育を十分に体系化できていない


今回の分析では、回答者250名を、勤務先の従業員数によって3つに分けました。

10〜100名が59名、101〜500名が76名、501名以上が115名です。


「対象者、学ぶ内容、実施時期、学ぶ順序などを体系化できているか」という質問に対して、「あまり体系化されていない」「まったく体系化されていない」と回答した割合は、


10〜100名の企業で55.9%でした。

101〜500名では34.2%、501名以上では24.3%です。

10〜100名と501名以上の差は31.6ポイントに達しました。企業規模と教育の体系化の状況には、統計的にも有意な関連が確認されています。


従業員数が増えるほど、教育を担当する部門や研修制度が整備されやすくなることは想像できます。しかし、今回の結果から、その違いが数値として明確になりました。

10〜100名の企業では、教材をどのように作るかを考える前に、誰に、何を、どの時期に、どの順番で学んでもらうのかという、教育全体の設計から取り組む必要があると考えられます。



「教材を作れる人材がいない」は参考傾向として捉える


最も大きな教育課題を一つ選んでもらった設問では、10〜100名の企業で「教材を作れる人材がいない」が16.9%で最多となりました。

次いで、「社内資料や業務ノウハウを教材化できていない」が15.3%、「従業員の知識や経験に合った教育ができていない」が13.6%です。


人事や研修の専任部門がない企業では、現場の管理職や従業員が、通常業務と並行して教育を担当することがあります。


業務内容をよく知っていても、それを学習者に合わせて整理し、教材へ変える経験があるとは限りません。教材を作る時間を確保することも容易ではないでしょう。

ただし、「最も大きな課題」の回答分布について、企業規模による統計的に有意な差は確認されませんでした。


そのため、「10〜100名の企業では教材を作れる人材が不足している」と一般化することはできません。今回の結果は、今後の追加調査で検証すべき参考傾向として扱う必要があります。


企業規模による明確な違いが確認されたのは、個別の課題ではなく、教育全体が体系化されているかどうかです。



101〜500名では、社内資料を十分に活用できていない回答が50.0%


社内資料や業務ノウハウを教材として十分に活用できていない割合は、10〜100名で45.8%、101〜500名で50.0%、501名以上で37.4%でした。

数値上では、101〜500名が最も高くなっています。

ただし、社内資料の活用状況については、企業規模による統計的に有意な差は確認されませんでした。「101〜500名の企業ほど教材化に困っている」と断定することはできません。

一方で、101〜500名では、社内資料や業務ノウハウを十分に活用できていないという回答が半数に達しています。


規模固有の傾向とは断定できませんが、教育体制の整備とは別に、教材化の工程を確認する必要性が示されています。


製品説明資料や業務マニュアル、過去の研修資料が社内に存在していても、それだけで教材として活用できるわけではありません。


誰に何を学んでもらうのかを定め、学習目標に沿って内容を選び、理解しやすい順番へ組み替える必要があります。元資料の変更を教材へ反映する更新方法も決めなければなりません。


教育を体系化することと、社内資料を学べる教材へ変えることは、関連しながらも異なる課題です。



501名以上では、AIによる教材作成への関心が60.9%


AIを利用して社内資料や業務マニュアルから教材を作成・編集するツールへの関心は、10〜100名で49.2%、101〜500名で59.2%、501名以上で60.9%でした。

数値上は、企業規模が大きい区分ほど関心の割合が高くなっています。


大規模な企業では、教育の対象者や部門、拠点、職種が増えます。同じテーマでも対象者に合わせて複数の教材を作る必要があり、制度や業務の変更に伴う更新も発生します。

そのため、教材の初回制作だけでなく、展開や更新を継続的に効率化する方法として、AIに関心が向いている可能性があります。


ただし、この項目でも企業規模による統計的に有意な差は確認されませんでした。

501名以上で関心が高いという数値は見られるものの、AIによる教材作成への関心が企業規模によって異なるとは断定できません。


実際、10〜100名でも49.2%が関心を示しています。

専任の教材制作者を置きにくい企業と、多くの教材を制作・更新する必要がある企業では、背景にある課題は異なるかもしれません。それでも、双方がAIによる教材作成に関心を持つことは考えられます。



企業規模で明確に異なったのは、教育の体系化


今回のクロス分析から、企業規模によって、従業員教育の体系化の状況が異なることが見えてきました。


10〜100名では、教育を十分に体系化できていない割合が55.9%となり、501名以上を31.6ポイント上回っています。


一方、社内資料の活用状況やAIによる教材作成への関心では、規模別に数値の違いは見られたものの、統計的に有意な差は確認されませんでした。


この結果から、企業規模だけを見て、それぞれの教育課題を決めつけることはできません。

ただし、自社が教育を体系化する段階にいるのか、社内資料を教材へ変える工程に課題があるのか、制作や更新の負担を軽減する必要があるのかを分けて考えることはできます。

教育が十分に体系化されていない場合は、まず、対象者、学ぶ内容、実施時期、学ぶ順序を整理する必要があります。


教育体制があっても社内資料を活用できていない場合は、資料をそのまま配布するのではなく、学習目標に沿って教材へ再構成する工程を確認します。

教材の数や更新頻度が増えている場合は、AIを含め、制作と更新を継続できる仕組みを検討することが有効です。


企業規模は、自社の課題を決める答えではありません。

しかし、今回の分析で確認された体系化の差は、自社の従業員教育がどのような状態にあるのかを見直す、一つの手がかりになります。



企業規模別の分析を追加した調査レポートを公開しています


今回のクロス分析を含む「従業員教育と社内ノウハウの教材化に関する実態調査」の更新版を、無料で公開しています。


レポートでは、企業規模別の分析に加えて、社内資料やノウハウの活用状況、教材制作の体制、教育効果の確認方法、AIによる教材作成への期待と懸念などを掲載しています。

自社の従業員教育がどのような状態にあり、どこから改善すべきかを考えるための参考資料として、ご活用ください。


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※本調査は、従業員教育に関わる教育担当者・経営者250名を対象に、2026年7月に実施しました。回答者は製造業が33.6%、従業員501名以上の企業に勤務する人が46.0%を占めています。調査結果を日本企業全体へ一般化する際には、回答者構成に留意する必要があります。

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