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コンテキストAIができるまで① ナレッジ抽出編。資料から「用語・手順・現場のコツ」をどう見分けるか

更新日:7月30日


これまでの記事では、当社の設計思想や、時事的なテーマとの接点を中心にお伝えしてきました。今回から数回に分けて、コンテキストAIが実際にどのような工程で学習コンテンツを作っているのか、その仕組みを少しずつご紹介していきます。


第1回のテーマは「ナレッジ抽出」です。コンテキスト化メソッドの最初のステップであり、社内資料をアップロードした際に、まず何が行われるのかという部分です。

コンテキストAIにおけるナレッジ抽出とは、社内資料に書かれている情報を、教材の材料となる用語、手順、注意点や実務上のコツとして整理する工程です。



資料の中には、何が書かれているのか


社内資料と一口に言っても、その中身は多様です。手順書には作業の順番が書かれています。マニュアルには用語の定義や注意事項が書かれています。議事録やFAQには、現場で実際に起きた問題への対応や、業務を円滑に進めるための工夫が残されていることもあります。


ナレッジ抽出のステップでは、こうした資料の中から、学習コンテンツの材料となる知識を見つけ出します。具体的には、用語の定義作業の手順、そして現場のコツという3種類の知識に注目しています。



なぜ、この3種類に注目するのか


この3種類を分けて捉えるのには理由があります。

用語の定義は、学ぶ人が土台として知っておくべき知識です。用語の意味が曖昧なまま先へ進むと、その後の手順や注意事項も理解しづらくなります。

作業の手順は、実際に業務を行ううえで欠かせない、行動に関する知識です。どのような順番で作業を進め、どの段階で確認するのかを理解することで、学んだ内容を実務へつなげやすくなります。


現場のコツは、注意書きやFAQ、過去の事例、議事録などに断片的に残されている、実務上の判断や工夫です。完全な暗黙知ではなく、資料の中に一部が言葉として残された、暗黙知に近い情報だと捉えています。


多くの資料では、これら3種類の知識が、明確に区別されずに混在しています。定義の説明の途中に手順が挟まっていたり、手順の合間に注意点や例外対応が書かれていたりします。人が資料として読む分には、それほど気にならないかもしれません。しかし、学習コンテンツとして再構成するためには、まず、それぞれの情報が何を意味しているのかを見分け、整理する必要があります。



「無から有を作らない」という原則


ナレッジ抽出において、当社が最も大切にしているのは、資料に書かれていない情報を新たに作り出さないという原則です。


これは、単なる建前ではありません。AIが資料に書かれていない一般的な知識を補い、説明を厚くすれば、一見すると充実した教材になるかもしれません。しかし、その内容が実際の業務や、その会社独自の方法と一致しているとは限りません。


一般的には正しい説明であっても、自社のルールとは異なる可能性があります。過去には正しかった内容が、現在の運用には合わないこともあります。もっともらしい情報が加わることで、かえって学ぶ人を迷わせるリスクが生まれます。


だからこそ、ナレッジ抽出のステップでは、あくまで資料に記載されている情報の範囲内で、用語、手順、注意点、判断の手がかりを拾い上げることを徹底しています。

資料に含まれる情報が少なければ、抽出できる知識も自然と少なくなります。これは制約に見えるかもしれません。しかし、その会社の実態に忠実な教材を作るためには、譲ることのできない前提だと考えています。


また、資料に十分な説明がないことが分かれば、それ自体が一つの発見になります。AIが不足部分を勝手に埋めるのではなく、「この手順の理由が記載されていない」「この例外への対応が明確ではない」と人が気づき、必要な知識を補うきっかけにできます。

ナレッジ抽出は、資料に書かれていることを整理するだけでなく、何が書かれていないのかを確認するための工程でもあります。



社内資料を、教材を作るための知識資産として捉え直す


ナレッジ抽出のステップを通すことで変わるのは、知識の見え方だけではありません。資料そのものの位置づけも変わります。


もともとの資料は、「読んでもらえば分かるだろう」「以前説明したから理解しているだろう」という前提で共有されていることが少なくありません。しかし、この「分かるだろう」という前提が、伝えたつもりと、実際に伝わったことの間に、見えない溝を生む原因になります。


コンテキストAIを通すことで、アップロードされた資料は、元の用途を保ちながら、学習コンテンツを作るための知識資産として捉え直されます。


手順書は、単に作業方法を確認するための資料ではなく、業務の流れを学ぶための材料になります。FAQや議事録は、過去の問い合わせや会話の記録であると同時に、現場で必要とされる判断や注意点を学ぶための材料になります。


「読めば分かるだろう」と渡されていた資料が、何を学ぶための情報なのかを整理され、教材の材料として再構成されるのです。この変化は、単なる見た目の違い以上の意味を持っています。


資料の中に分散していた情報を、用語、手順、注意点、判断の手がかりとして整理することで、その会社が持つ知識を、教育に活用しやすい状態へ変えていくことができます。



教材として配信することで、学習状況を確認できる


ナレッジ抽出そのものは、資料から教材の材料を整理する工程です。この段階だけで、学習の進捗が可視化されるわけではありません。


抽出した知識をもとに学習目標を定め、理解しやすい順序に構成し、学習コースとして受講者へ配信する段階まで進むと、学習の進捗や理解度を担当者が確認できるようになります。

これまでは、資料を渡した後、実際にどこまで読まれ、どこまで理解されたのかは、本人にしか分からないことが多くありました。資料を送付したことは確認できても、内容が身についたかどうかまでは確認できません。


学習コースとして配信し、進捗やクイズの結果などを可視化することで、研修担当者や上司も学習状況を把握しやすくなります。理解が進んでいない部分が分かれば、追加の説明や声かけにつなげることもできます。


この効果測定の仕組みについては、次回以降の「効果測定編」で、改めて詳しくご紹介します。



抽出は、その後の設計すべての土台になる


ナレッジ抽出のステップで拾い上げた用語、手順、注意点、現場のコツは、この後に続く学習目標設計、シーケンス設計、コンテンツ生成という工程すべての材料になります。


どのような知識が含まれているかを整理できていなければ、適切な学習目標を定めることはできません。用語の前提を確認しないまま手順を教えれば、学ぶ人は途中で理解につまずく可能性があります。注意点や判断の手がかりを見落とせば、手順は覚えられても、実際の状況に対応できない教材になるかもしれません。


ここで見落としがあれば、その後にどれだけ丁寧な学習順序を設計しても、教材として不完全なものになってしまいます。

逆に言えば、地味に見えるこの最初のステップこそが、教材全体の質を左右する重要な工程です。文章を生成する前に、何を教材の材料として扱うのかを明確にする。それが、コンテキストAIの教材づくりの出発点です。



まとめ


コンテキストAIの最初のステップは、資料の中から、用語、手順、現場のコツという3種類の知識を見分け、整理することです。


現場のコツといっても、資料に書かれていない暗黙知をAIが推測するわけではありません。注意書きやFAQ、事例、議事録などに、言葉として残されている実務上の知識を拾い上げます。


派手な工程ではありませんが、「無から有を作らない」という当社の原則を、最も具体的な形で体現しているステップでもあります。


この工程を経ることで、社内資料は元の用途を保ちながら、教材を作るための知識資産として捉え直されます。そして、その知識を学習コースとして構成し、受講者へ配信することで、資料を渡すだけでは分からなかった学習状況も確認できるようになります。


次回は、抽出された知識をもとに、どのように学習目標の案を設定していくのか、そのステップについてご紹介します。


社内資料から教材を作る具体的な流れや活用イメージについては、

コンテキストAI実践ガイドでご紹介しています。


機能やプランについては、コンテキストAIのサービスページをご覧ください。

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