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教育資産化を始める前に確認したい7項目。社内資料を教材へ変えるチェックリスト


社内には、従業員教育に活用できそうな資料が数多くあります。業務マニュアル、商品説明資料、社内規程、提案書、FAQ、過去の研修資料など、その種類もさまざまです。

こうした資料を教材へ変えようとすると、最初にPowerPointの作成や動画化を考えがちです。生成AIを使えば、資料の要約や構成案の作成、ナレーションや確認問題の生成にも短時間で取り組めます。


一方、教育資産化では、制作を始める前の整理が教材の品質を左右します。誰に、何を学んでもらい、どのような判断や行動につなげるのか。元資料は最新か、誰が内容を確認するのか、公開後はどのように更新するのか。これらが曖昧なままでは、教材が完成しても十分に活用されない可能性があります。


今回は、社内資料を教育資産へ変える前に確認したい7つの項目を整理します。



1.解決したい教育課題が明確になっているか


最初に確認するのは、教材を作る目的です。


「新入社員向けの教材を作る」「社内マニュアルをeラーニングにする」といった計画だけでは、学習後に期待する変化まで把握できません。教材化の対象を決める前に、現在どのような教育課題が起きているのかを整理します。


例えば、担当者によって説明内容が異なる、同じ質問への対応が繰り返されている、業務上の判断が熟練者に集中しているといった状況が考えられます。教育課題が明確になると、教材で扱うべき内容と、教材以外の方法で改善すべきことを分けやすくなります。


教材制作を目的にするのではなく、組織や業務の課題を改善する手段として教材を位置付けることが出発点になります。



2.学ぶ人と、学習後に期待する行動が決まっているか


同じ業務を扱う教材でも、対象者によって必要な説明は変わります。

新入社員には、用語や業務全体の流れから説明する必要があります。経験者には、変更された手順や判断基準に焦点を当てた方が理解しやすいでしょう。管理職向けであれば、作業方法よりも、承認や例外対応の判断が中心になる場合もあります。


対象者を決める際には、所属や役職だけでなく、現在の知識や経験も確認します。そのうえで、受講後に「説明できる」「操作できる」「状況に応じて判断できる」など、期待する行動を具体的にします。


学習後の行動が定まると、教材へ入れる情報の範囲や、適切な確認問題も設計しやすくなります。



3.教材の根拠となる資料が特定されているか


教材制作では、元資料の選定も重要です。

同じ業務について複数の資料が存在し、それぞれ更新日や記載内容が異なることがあります。過去の研修資料と現在の業務マニュアルで手順が違っている場合、AIへまとめて入力しても、どちらを正しい情報として扱うべきか判断できません。


教材化を始める前に、正式な根拠として使用する資料を特定し、最新版であることを確認します。資料名、版数、更新日、管理部門を記録しておくと、公開後の更新にも役立ちます。

資料の一部に古い情報や不足が見つかった場合は、教材側だけを修正するのではなく、元資料の管理方法も確認した方がよいでしょう。教育資産化は、社内情報の状態を見直す機会にもなります。



4.資料に書かれていない現場の知識を確認したか


社内資料に書かれている内容だけで、業務のすべてを説明できるとは限りません。

現場では、状況に応じた判断、間違えやすい箇所、顧客への伝え方、例外時の対応などが、経験を通じて共有されていることがあります。こうした知識が教材に含まれていないと、手順を理解できても、実際の業務で迷う場面が生まれます。


元資料を確認する際には、その業務に詳しい担当者へ、資料だけで新人が対応できるかを聞いてみます。よくある失敗や質問、判断に迷いやすい場面を確認すると、教材へ加えるべき具体例が見えてきます。


熟練者の話をそのまま教材へ載せるのではなく、誰が使っても理解できる知識として整理することが、属人的な経験を教育資産へ変える工程です。



5.教材の構成が学習目標に沿っているか


元資料の章立てを、そのまま教材の構成に使える場合もあります。ただし、業務資料の情報配列と、人が理解しやすい学習順序は必ずしも一致しません。


教材では、学習の目的を示し、前提となる知識をそろえたうえで、基本的な考え方から具体的な手順へ進む構成が必要です。判断を伴う業務であれば、事例や場面を示しながら、どの情報をもとに判断するのかを説明します。


生成AIによる構成案も、学習目標との関係を確認して調整します。元資料の要約として整っていても、受講者の行動につながる順序になっているかは、別の観点からの確認が必要です。


教材の各項目が、どの学習目標を支えているのかを説明できれば、内容の重複や不足も見つけやすくなります。



6.理解や行動の変化を確認する方法があるか


教材を公開して受講記録を取るだけでは、教育の成果を十分に把握できません。受講者が内容を理解し、業務で使える状態になったかを確認する方法も、制作前に考えておきます。

知識の理解を確認するのであれば、選択式のテストを利用できます。業務上の判断を身に付けてもらう場合は、事例を示して対応を選ぶ問題や、理由を説明する設問が適しています。


操作や接客など、行動そのものが重要な教育では、実務での観察や上司による確認も必要になるでしょう。


評価方法を先に決めると、教材内で何を説明し、どのような練習を用意するべきかが明確になります。教育効果の測定は、教材公開後に追加する作業ではなく、教材設計の一部として考えることが大切です。



7.確認・承認・更新の担当者が決まっているか


教材を継続的に利用するためには、公開前の確認と、公開後の更新を担う人が必要です。

内容の正確性は元資料を管理する部門、学習目標や構成は教育担当者、現場での適合性は業務担当者が確認するなど、観点ごとに役割を分けると進めやすくなります。情報管理に関わる資料であれば、情報システムや法務などによる確認も加わります。


公開後については、元資料の改定、業務手順の変更、受講者からの質問、テスト結果などを教材更新のきっかけとして定めます。更新が必要になったときに誰へ連絡し、誰が承認するのかまで決めておけば、担当者の記憶だけに依存せずに運用できます。


教材を教育資産として維持するには、制作担当者よりも、完成後の管理責任者を明確にすることが重要です。



教育資産化チェックリスト


社内資料の教材化を始める前に、次の項目を確認します。


  • □ 解決したい教育課題を説明できる

  • □ 対象者と、学習後に期待する行動が決まっている

  • □ 教材の根拠となる最新資料を特定している

  • □ 資料に書かれていない現場の知識を確認している

  • □ 学習目標に沿って教材の構成を設計している

  • □ 理解や行動の変化を確認する方法が決まっている

  • □ 内容確認、承認、公開後の更新を担う人が決まっている


すべての項目を最初から完璧に整える必要はありません。確認できていない項目があれば、それが教材化を進める前の準備課題になります。



最初は、一つの資料から始める


教育資産化に取り組む際、社内にある資料を一度に教材へ変えようとすると、対象範囲が広がり、関係者の調整も複雑になります。


まずは、一つの教育課題、一つの対象者、一つの元資料に範囲を絞る方法が現実的です。問い合わせが多い業務、担当者による説明の差が生じている業務、更新頻度の高い知識など、改善効果を確認しやすいテーマから着手します。


小さな範囲で教材化から配信、評価、更新までを一度経験すると、自社に必要な役割や手順が具体的に見えてきます。その運用をひな型として展開することで、社内資料や熟練者の知識を継続的に教育資産へ変えられるようになります。


教育資産化は、保有している資料の量によって決まるものではありません。社内の情報を、従業員の理解、判断、行動につながる状態へ整え、継続的に活用できる仕組みを作る取り組みです。



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