top of page

教材を増やし続けるだけでよいのか。教育資産を棚卸しする5つの判断基準

  • 執筆者の写真: Adop-Context
    Adop-Context
  • 7 時間前
  • 読了時間: 9分

社内教材を作り続けていると、数は少しずつ増えていきます。


新人研修の資料、業務マニュアル、確認テスト、過去の事例集。必要に応じて作ってきたものなので、どれにも作った理由があるでしょう。


ところが、教材が増えるほど、管理する側には別の悩みが生まれます。

「あまり使われていない教材も残した方がいいのだろうか」「似た内容を一つにまとめられないか」「古い教材を利用終了にして、本当に困らないだろうか」。


すべてを残したまま新しい教材を足していくと、利用者は正しい教材を見つけにくくなります。管理する人にとっても、確認や更新の負担が少しずつ重くなってしまいます。


前回の記事では、教育資産の目的、対象者、担当者、確認日、状態などを記録する管理台帳の作り方を紹介しました。台帳によって「何があるか」が分かったら、次は一つひとつの教材を見直し、これからどう扱うかを決める段階です。


この記事では、社内教材を「そのまま使う」「直す」「まとめる」「利用を終える」に分けるための、五つの判断基準を紹介します。



棚卸しは、教材を減らすためだけに行うものではない


棚卸しという言葉を聞くと、使っていない教材を探して削除する作業を思い浮かべるかもしれません。


けれども、本来の目的は数を減らすことではありません。必要な教材を残し、正しい内容へ直し、利用者が迷わず使える状態に整えることです。


教材を見直した結果、そのまま残すものもあれば、一部を修正するものもあります。似た教材を一つにまとめる場合や、役割を終えた教材を利用終了にする場合もあるでしょう。


判断は、次の四つに分けると整理しやすくなります。

判断

どのような教材か

次に行うこと

そのまま使う

内容が正しく、今も必要とされている

次回確認日を決める

直す

必要だが、内容や見せ方に改善点がある

更新する箇所と担当者を決める

まとめる

似た教材が複数あり、利用者が迷いやすい

正式な教材を決めて内容を統合する

利用を終える

役割が終わり、今後は使わない

公開場所から外し、履歴として保管する

この四つを先に決めておけば、「残すか削除するか」の二択になりません。教材が作られた背景を大切にしながら、今の仕事に合う形へ整えられます。



基準1 今も、使う人と使う場面があるか


最初に確かめたいのは、その教材を誰が、どのような場面で使っているかです。

たとえば、新入社員が毎年入社する会社なら、基礎的な研修教材は繰り返し使われます。一方、終了した商品や、すでに使っていないシステムの操作教材は、今後の利用場面がないかもしれません。


確認するときは、閲覧回数だけで判断しないようにします。


災害時の対応や重大な事故を防ぐための教材は、ふだんあまり見られなくても必要です。年に一度しか使わない教材もあれば、特定の担当者だけに欠かせない教材もあります。


「何回見られたか」と一緒に、「誰が、いつ、何のために使うか」を確かめましょう。利用者や利用場面を具体的に説明できれば、残す理由もはっきりします。



基準2 内容は、今のルールや仕事に合っているか


利用場面があっても、中身が古ければ、そのまま使うことはできません。

規程や法律の改定に加え、商品の内容やシステムの画面が変わることもあります。こうした変化があれば、教材にも修正が必要です。


見直すときは、教材だけを読んで判断するのではなく、もとになった規程、マニュアル、業務手順と比べます。前回紹介した管理台帳に元資料を登録しておけば、変更の影響を受ける教材を探しやすくなるでしょう。


文章の一部を直せば使えるのか、問題や解説も作り直す必要があるのか。変更の大きさも確認し、必要な作業を担当者へつなぎます。


安全、品質、法令、契約に関わる内容は、教育担当者だけで決めず、正しさを判断できる部署や責任者の確認を受けることが大切です。



基準3 似た教材が、別の場所に残っていないか


部署ごとに教材を作っていると、よく似た内容が別々に生まれることがあります。

営業部には「個人情報の取り扱い」、人事部には「入社時の情報管理」、情報システム部には「情報セキュリティの基本」がある。名前は違っても、重なる説明が多いかもしれません。


似ているからといって、すぐ一つにまとめる必要はありません。対象者や利用場面が違えば、それぞれの教材を残した方が学びやすい場合もあるためです。


まずは、共通する内容と、その部署だけに必要な内容を分けてみましょう。全社員に共通する部分を基礎教材へまとめ、部署ごとの事例や判断だけを追加教材にすると、更新もしやすくなります。


どれが正式な教材か分からない状態は避けたいところです。統合しない場合でも、対象者と使い分けを台帳に書いておけば、利用者の迷いを減らせます。



基準4 仕事の役に立っているか

教材は、読まれたり受講されたりするだけでなく、その後の仕事に活かされることが大切です。


とはいえ、すべての教材について、大がかりな効果測定を行う必要はありません。まずは、現場で起きている小さな変化を集めます。


同じ質問が減ったか。作業の間違いが少なくなったか。新人が一人でできる仕事が増えたか。問い合わせを別の担当者へ引き継ぎやすくなったか。こうした変化も、教材が役立っているかを考える材料になります。


反対に、よく見られているのに同じ質問が続く場合は、教材が利用者の疑問に答えられていない可能性があります。利用を終えるのではなく、説明の順序や具体例を直した方がよいでしょう。


閲覧数、確認テストの結果、現場からの質問を一緒に見ると、「残すべき教材」と「直すべき教材」を分けやすくなります。



基準5 これからも管理できるか


内容が良い教材でも、確認する人がいなければ、時間とともに古くなります。

更新担当者は決まっているか。内容の正しさを確認できる人はいるか。次に見直す日は決まっているか。この三つを確かめてみましょう。


担当者が異動している場合は、新しい担当者や部署へ引き継ぎます。誰も責任を持てない教材を、正式な教材として公開し続けるのは避けた方が安心です。


ただし、担当者がいないからといって、すぐに利用終了にするとは限りません。今後も必要な教材なら、先に管理する部署や確認方法を決め直します。


教材の価値だけでなく、使い続けられる体制まで含めて考えること。これが、教育資産を長く活かすための大切な基準になります。



迷った教材は、すぐに削除せず「要確認」にする


棚卸しをしていると、その場では結論を出せない教材も出てきます。

使っている人がいるか分からない。内容は古そうだが、確認できる人が見つからない。別の教材とまとめられそうでも、どちらを正式版にするか決められない。


そんなときは、無理に判断せず、台帳の状態を「要確認」に変えます。同時に、確認する内容、担当者、期限を書いておきましょう。


利用者への影響が心配な場合は、教材の冒頭に「内容を確認中です」「利用前に担当部署へ確認してください」と案内を入れます。放置するのではなく、迷っている状態を見えるようにすることが大切です。



利用を終えた教材も、履歴として残しておく


役割を終えた教材は、普段の検索結果や案内から外します。ただし、すぐに完全削除すると、過去の教育内容や変更の理由を確認できなくなるかもしれません。


そこで、利用終了の教材は、利用中の教材とは別の場所に保管します。台帳には、利用を終えた日、理由、後継となる教材を記録しておきましょう。


たとえば、「旧システムの終了により利用停止」「2026年度版へ統合」「新しい安全基準に合わせて全面改訂」と残せば、後から見ても経緯が分かります。


利用者が古い教材を開いた場合に備えて、新しい教材への案内を付けておく方法もあります。過去を消さず、現在の正しい入り口を分かりやすくする考え方です。



一度に全部見直さず、対象をしぼる


教材が多い会社ほど、すべてを一度に棚卸ししようとすると止まりやすくなります。

まずは、次回確認日を過ぎた教材、現場から質問が多い教材、似たものが複数ある教材から始めてみましょう。10件ほどを選び、五つの基準で確認するだけでも、今後の進め方が見えてきます。


棚卸しの時期は、四半期ごと、半年ごと、年に一度など、会社に合う間隔で構いません。規程改定やシステム変更があったときは、定期的な確認を待たず、関係する教材だけを見直します。


大切なのは、年に一度の大仕事にしないことです。毎月少しずつ確認する方が、教材を正しい状態に保ちやすくなります。



AIは、見直す候補を探す手助けができる


教材の数が増えると、内容を比べるだけでも時間がかかります。


AIを使えば、似た説明を含む教材、同じ元資料から作られた教材、古い制度名や商品名が残っている教材を探しやすくなります。複数の教材の違いを整理し、統合案や修正案を作ることもできるでしょう。


一方で、その教材が今も必要か、正式な内容として公開してよいかは、実際の業務を知る人が判断します。AIには候補を見つけてもらい、人が仕事への影響と正しさを確かめる。この役割分担が現実的です。



教材の数ではなく、使える状態を育てていく


社内教材は、作った数が多ければよいわけではありません。


必要な人が正しい教材を見つけられ、仕事の中で使えること。そして、内容が変わったら直し、役割を終えたら迷わないように整理できることが大切です。


管理台帳で教材を見えるようにしたら、今回紹介した五つの基準で確かめてみましょう。


  1. 今も、使う人と使う場面があるか

  2. 内容は、今のルールや仕事に合っているか

  3. 似た教材が、別の場所に残っていないか

  4. 仕事の役に立っているか

  5. これからも管理できるか


すべてを残す必要も、思い切って減らす必要もありません。そのまま使う、直す、まとめる、利用を終えるという四つの判断を使い分ければ、教育資産は少しずつ分かりやすくなります。


教材を作る活動と、見直す活動を一つの流れにすること。それが、社内の知識を長く活かしていくための運用につながります。


自社の教育と知識共有の現在地を確認する


古い教材が残っている、似た教材がいくつもある、更新する人が決まっていない。そんな課題を整理したい方は、無料の「教育資産化診断」をご利用ください。約3分で、現在地と次に考えたいテーマを確認できます。




教育資産化の考え方を詳しく見る


社内資料や現場のノウハウを、社員が理解し、判断や行動に活かせる教育資産へ変える考え方を紹介しています。




教材を作り、届け、改善できる運用へ


コンテキストAIでは、社内資料から教材を作成し、学習者へ配信した後、受講状況や確認テストの結果を確認できます。どの教材を残し、どこを見直すかという運用づくりの段階から、当社へご相談いただけます。




関連記事

bottom of page