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市販の研修教材と自社専用教材は、どう使い分けるか。社員教育で迷わない選び方

執筆者の写真: Adop-Context
Adop-Context
47 分前
読了時間: 11分

社員教育を整えようとすると、「市販の研修教材を利用するか、自社で教材を作るか」という選択に迷うことがあります。


市販教材には、すでに内容が整理されており、比較的早く研修を始められる良さがあります。一方、自社専用教材なら、実際の商品、業務手順、顧客対応、現場で使う言葉に合わせて学べます。


どちらが優れているかを、一つに決める必要はありません。


多くの企業で学ぶ共通知識には市販教材、自社でしか使わない知識や判断には自社専用教材を選び、必要に応じて組み合わせる。この考え方が、研修の費用と効果のバランスを取りやすくします。


この記事では、市販教材と自社専用教材の違い、それぞれに向く研修、自社教材を作るべきか判断する質問、二つを組み合わせる方法を紹介します。



市販教材と自社専用教材では、担う役割が異なる


市販教材は、複数の企業に共通する知識や技能を学べるように作られています。ビジネスマナー、情報セキュリティの基礎、管理職の基本、表計算ソフトの使い方などが代表的です。


自社専用教材は、自社の業務や商品、制度、顧客、判断基準に合わせて作ります。社内資料、業務マニュアル、過去の対応記録、経験者のノウハウなどが、教材の材料になります。

比較する点

市販の研修教材

自社専用教材

主な対象

多くの企業に共通する知識

自社固有の知識や仕事

導入までの速さ

比較的早い

内容の整理と確認が必要

内容の専門性

一般的な基準や事例が中心

自社の商品、手順、事例を使える

学習者との距離

自分の仕事へ置き換える必要がある

日常の仕事と結びつけやすい

更新する人

提供会社

自社の担当者と内容確認者

費用の考え方

利用人数や期間に応じた料金

制作、確認、更新にかかる工数

向いている目的

共通知識を早くそろえる

自社で必要な判断と行動をそろえる


市販教材は、社外にある知識を取り入れる手段です。自社専用教材は、社内にある知識を学べる形へ整える手段と考えると、役割の違いが分かりやすくなります。



市販教材が向いている研修


会社が違っても、基本的な内容が大きく変わらないテーマには、市販教材が向いています。

たとえば、一般的なビジネスマナー、パソコンソフトの基礎、会計の入門、マネジメントの基本などです。幅広い人に共通する内容であり、社内で一から調べて教材を作るよりも、専門家が監修した教材を利用した方が早く学習を始められます。


法令や社会的な基準を学ぶ研修でも、市販教材が役立ちます。ハラスメント、個人情報、情報セキュリティ、安全衛生などは、まず共通する考え方を正しく学ぶ必要があるからです。


ただし、共通知識を学んだ後に、自社の相談窓口、事故が起きたときの報告先、社内ルールなどを加えることがあります。一般的な内容だけでは、実際の行動まで迷わず選べない場合があるためです。


市販教材を選ぶときは、知名度や講座数だけでなく、次の点も確認します。


  • 自社が求める到達目標と合っているか

  • 対象者の経験や役職に合っているか

  • 内容は定期的に更新されているか

  • 学んだ後に、理解や判断を確認できるか

  • 自社のルールを追加できるか


市販教材は、すぐに使えることが強みです。その強みを活かすには、何を補えば自社の仕事へつながるかも一緒に考えます。



自社専用教材が向いている研修


自社の商品、サービス、業務手順、顧客対応などを学ぶ場合は、自社専用教材が必要になります。


たとえば、同じ営業職でも、顧客へ聞くべきこと、提案できる商品、見積もりの条件、社内の承認経路は会社ごとに異なります。一般的な営業研修で質問や提案の基本を学べても、自社の商品を適切に提案する方法までは身につきません。


製造現場では、設備、材料、品質基準、安全上の決まりが自社の環境に合わせて定められています。IT企業のシステム運用や顧客サポートでも、システム構成、契約条件、担当部門の分担によって対応が変わります。


次のような知識は、自社専用教材へ整える価値が高いでしょう。


  • 自社の商品やサービスを扱うための知識

  • 社内システムや業務フローの使い方

  • 顧客対応で迷いやすい判断基準

  • 品質、安全、承認に関する自社のルール

  • 特定の担当者や熟練者へ集まっているノウハウ

  • 過去の失敗、不良、問い合わせから得られた教訓


これらは、社外の教材では代わりにくい知識です。自社の競争力や仕事の進め方に関わるため、社員が学べる形で残しておく意味があります。



自社専用教材のメリットは、仕事の判断まで扱えること


自社専用教材の良さは、会社名や商品名を入れられることだけではありません。

実際の仕事に近い場面を使い、「この場合は何を確認するか」「どの条件なら上司へ相談するか」「なぜこの対応を選ぶのか」まで学べることが大きな特徴です。


たとえば、顧客から納期の短縮を求められた場面を考えます。一般的な営業教材では、顧客の希望を丁寧に聞き、関係者へ確認すると説明されるかもしれません。


自社専用教材なら、どの情報を聞くのか、誰へ確認するのか、営業担当者の判断で回答できる範囲はどこまでか、特別対応に必要な承認は何かまで扱えます。過去に起きた行き違いや、経験者が注意している点も事例に加えられます。


社員は、一般的な正解ではなく、自社で期待される判断と行動を練習できます。新人や異動者の教育だけでなく、部署や拠点による対応の違いをそろえる用途にも活かせます。



自社専用教材にも、作る負担と更新の責任がある


自社の仕事に合うからといって、すべてを専用教材にすると、制作と更新の負担が大きくなります。


業務を知る人への聞き取り、元資料の確認、構成、文章、図、ナレーション、確認問題、公開前のレビューなど、教材を作るには複数の工程があります。制度や商品が変われば、教材も直さなければなりません。


内容を細かく作り込みすぎると、少しの変更で多くの箇所を修正することになります。特定の部署や担当者だけに通じる言葉が増え、ほかの人が使いにくくなる場合もあります。

そこで、自社専用にする範囲を選びます。


共通する基礎知識は市販教材へ任せ、自社で判断が変わる部分へ制作時間を使います。すでにある社内資料を活用し、情報を一から書き直さないことも大切です。


自社専用教材を作るときは、公開日だけでなく、元資料、更新担当者、内容確認者、次回確認日も記録します。教材を作る計画と、使い続ける計画を一緒に持つことで、古い内容が残ることを防ぎやすくなります。



五つの質問で、どちらを選ぶか考える


一つの研修テーマについて、市販教材と自社専用教材のどちらが合うか迷ったら、五つの質問で整理できます。



1.会社が変わっても、答えはほぼ同じか


会社に関係なく共通する知識なら、市販教材を利用しやすいテーマです。自社の商品、組織、設備、顧客によって答えが変わるなら、自社専用教材を検討します。


2.社員が仕事で迷うのは、どこか


用語や基本知識が分からないなら、市販教材で基礎を補えるかもしれません。社内の条件や例外に応じた判断で迷っているなら、自社の事例と判断基準が必要です。


3.間違えたときの影響は大きいか


安全、品質、個人情報、契約、顧客への影響が大きい業務は、自社の正式な基準を教材へ反映します。一般的な教材を使う場合も、自社の手順と相談先を追加します。


4.同じ質問や説明が繰り返されているか


特定の人へ同じ質問が集まり、同じ説明を何度もしているなら、その内容は自社専用教材の候補です。一度教材へ整えれば、質問を受けた人の負担を減らし、説明の違いも抑えられます。


5.内容は、どのくらいの頻度で変わるか


変更が多い内容では、更新のしやすさが重要です。短い単元へ分け、変更した箇所だけを直せる構造にします。更新する体制を用意できない場合は、教材を細かく作り込みすぎず、常に確認する元資料へ案内する方法もあります。


五つの質問への答え

選び方の目安

多くの会社で共通する

市販教材を中心にする

自社の条件で答えが変わる

自社専用教材を作る

基礎と自社判断の両方が必要

市販教材と自社専用教材を組み合わせる

変更が多く、更新体制がない

範囲を絞り、元資料とつなぐ



二つを組み合わせると、学びの流れを作りやすい


市販教材と自社専用教材は、どちらか一方を選ぶだけでなく、学ぶ順番の中で組み合わせられます。


たとえば、新任管理職の教育なら、市販教材で部下との対話、目標設定、労務管理の基礎を学びます。その後、自社専用教材で評価制度、面談の記録方法、相談窓口、実際に起きやすい場面を確認します。


情報セキュリティ研修では、市販教材で不審なメールやパスワード管理の基本を学び、自社専用教材で利用しているシステム、報告先、事故発生時の初期対応を扱えます。


営業研修なら、質問や提案の基本を市販教材で学び、自社の商品知識と提案事例を専用教材で補います。最後に、自社の顧客を想定したシナリオ問題へ進めば、共通知識から実務の判断までつながります。


この組み合わせには、三つの段階があります。


  1. 市販教材で、共通する基本を学ぶ

  2. 自社専用教材で、商品、手順、判断基準を理解する

  3. 自社の事例で、実際の行動を考える


基礎からすべてを自社で作らなくても、社員の仕事に必要な学びを組み立てられます。



費用は、教材の価格だけで比べない


市販教材と自社専用教材を比較するとき、教材の購入費や制作費に目が向きます。しかし、実際の負担はそれだけではありません。


市販教材では、利用料に加え、受講者の登録、案内、質問への対応、自社ルールの補足にかかる時間があります。内容が自社の仕事から遠ければ、受講しても活用されず、学習時間が十分な成果につながらないことも考えられます。


自社専用教材では、元資料の収集、経験者への聞き取り、内容確認、更新の工数が必要です。一方、繰り返し行っていた説明を教材へ置き換えられれば、教育担当者や現場の負担を抑えられる可能性があります。


費用を比べるときは、少なくとも次の四つを見ます。


  • 導入や制作にかかる費用

  • 担当者と受講者が使う時間

  • 内容を補足、確認、更新する工数

  • 学習後の行動や業務成果へのつながり


安い教材を選ぶことと、教育にかかる負担を小さくすることは、必ずしも同じではありません。研修の目的に合う範囲へ費用を使えているかを確認します。



AIは、自社専用教材を作る負担を軽くできる


これまで自社専用教材は、制作に時間がかかることが大きな課題でした。生成AIを活用すると、PowerPoint、PDF、Wordなどの社内資料から、教材の原案を作りやすくなります。


資料に含まれる知識を整理し、対象者と学習目標を定め、学ぶ順番へ並べる。説明文、事例、ナレーション、確認問題へ展開する。こうした工程をAIが支援すれば、担当者は一から文章を書く作業を減らせます。


ただし、AIが生成した教材が、自社の業務に合っているかは人が確認します。元資料が古ければ、古い内容を分かりやすくした教材ができてしまいます。資料に書かれていない例外対応や、経験者が持つ判断基準も、担当者が補う必要があります。


AIは、自社専用教材を自動で完成させる人ではなく、社内の知識を教材の形へ整える共同作業者と捉えると、役割が分かりやすくなります。



最初は、繰り返し教えている一つの内容から


自社専用教材を作るなら、すべての業務を対象にする必要はありません。

新しい人が入るたびに説明していること、同じ質問が特定の担当者へ集まっていること、対応の違いが品質や顧客へ影響することから、一つ選びます。


その内容について、現在使っている資料、説明している人、学ぶ人、できるようになってほしいことを書き出します。市販教材で補える基礎と、自社で作るべき部分を分ければ、制作する範囲を小さくできます。


市販教材は、外にある共通知識を効率よく学ぶために使う。自社専用教材は、社内にある知識を次の人へ引き継ぐために作る。そして二つを組み合わせ、社員が仕事で判断し、行動できる学びへつなげる。


この使い分けができれば、教材を選ぶ基準が「有名だから」「安いから」「自社で作れそうだから」だけではなくなります。研修の目的に合わせ、必要な知識を必要な形で届けられるようになります。



自社に必要な教材を整理する


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社内資料を自社専用教材へ変える手順

資料を選び、学習目標、現場のノウハウ、学ぶ順番、確認問題へ展開する方法を、8つの手順で紹介しています。



教育資産化の考え方を詳しく見る

社内資料や現場のノウハウを、社員が理解し、判断や行動に活かせる教育資産へ変える考え方を紹介しています。



自社の資料から、専用教材を作る

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