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研修教材の制作を依頼するとき、元資料はどこまで整えるべきか

執筆者の写真: Adop-Context
Adop-Context
19 時間前
読了時間: 10分

研修教材の制作を外部へ相談したいと思っても、「この資料で依頼してよいのだろうか」と迷うことがあります。


昔の研修で使ったPowerPointはあるものの、講師が話していた内容は残っていない。業務マニュアルはあるけれど、情報が多く、どこを教材にすればよいか分からない。複数の資料に同じテーマが書かれていて、少しずつ内容が違うこともあるでしょう。


こうした状態を見ると、依頼する前に資料をきれいに整えなければならないように感じます。しかし、制作会社へ渡す元資料は、完成された教材である必要はありません。


大切なのは、資料の見た目を整えることよりも、どの資料をもとに、誰に、何を学んでもらいたいのかを共有することです。足りない情報や判断に迷う箇所も、そのまま伝えた方が、必要な確認を早く始められます。


この記事では、研修教材の制作を依頼するとき、元資料をどこまで準備すればよいのかを紹介します。依頼前にそろえたい情報と、制作を進めながら決めてもよいことを分けて考えていきましょう。



元資料は、教材の完成形でなくてよい


研修教材の元になる資料には、さまざまなものがあります。


過去の研修用PowerPoint、業務マニュアル、社内規程、商品説明資料、操作手順書、FAQ、会議資料、講師のメモ。現場で使われているチェックリストや、よくある質問をまとめたメールも、教材づくりの材料になります。


これらは、もともと学習者が一人で学ぶために作られたものとは限りません。そのため、説明が足りなかったり、情報の順番が学習向けではなかったりするのは自然なことです。


制作を依頼する前に、文章をすべて書き直したり、スライドのデザインを整えたりする必要はありません。それを行うと、社内で一度教材を作り、その後に制作会社がもう一度組み直すことになり、作業が重なる場合があります。


まず必要なのは、教材化の土台になる資料です。完成度よりも、「現在の業務を知るために、最初に見るべき資料はどれか」が分かることを優先します。



最初に一つ、基準となる資料を選ぶ


関連資料が複数ある場合も、すべてを同じ重さで渡す必要はありません。

最初に、教材の中心になる資料を一つ選びます。新入社員向けの商品研修なら、最新の商品説明資料が中心になるかもしれません。情報セキュリティ研修であれば、現在使われている社内規程が基準になります。


中心となる資料を決めたうえで、足りない部分を補う資料を加えます。たとえば、商品説明資料に顧客からの質問が載っていなければ、FAQを補助資料として渡します。業務マニュアルに失敗例がなければ、過去の問い合わせやトラブル記録が役立ちます。


このとき、資料の役割を短く書いておくと、制作側が読み解きやすくなります。

資料

位置づけ

最新の商品説明資料

教材の中心となる資料

顧客向けFAQ

よくある質問と回答の参考

過去の研修スライド

講師が強調していた内容の参考

問い合わせ記録

学習者が迷いやすい場面の参考


資料が多いほど、良い教材になるとは限りません。最初の段階では、基準となる資料と、特に重要な補助資料にしぼった方が、教材の範囲を決めやすくなります。



最新版かどうかを確認する


元資料で最も注意したいのは、見た目よりも内容の新しさです。


古い手順や連絡先が含まれた資料をもとに制作すると、教材が完成した後に大きな修正が必要になります。複数の版が保存されている場合は、どれを現在の基準として使うのか確認しましょう。


ただし、資料のすべてを細かく確認してから相談する必要はありません。確認できていない箇所があれば、「このページは現在も使えるか、現場へ確認中です」と伝えれば大丈夫です。


分からない状態を隠して進めるより、未確認の箇所を明らかにした方が、制作中に誤った情報が広がることを防げます。


資料を渡す際には、次の情報があると安心です。


  • 資料の作成日または最終更新日

  • 現在も使われている資料か

  • 内容を管理している部署や担当者

  • 古い可能性があるページ

  • 別の資料と説明が異なる箇所


すべてが分からなくても構いません。「分かっていること」と「確認が必要なこと」を分けておくことが大切です。



誰に学んでもらうかを伝える


同じ元資料でも、学ぶ人によって教材の内容は変わります。


新入社員には、用語や業務の全体像から説明する必要があります。一方、すでに基本業務を経験している社員には、例外への対応や判断に迷う場面を中心にした方が役立つでしょう。


制作を依頼するときは、「全社員向け」のような広い表現だけでなく、対象者の状態も伝えます。


たとえば、次のような情報です。


  • 入社後、初めてこの業務を担当する人

  • 基本操作はできるが、顧客からの質問への対応経験が少ない人

  • 管理職になり、初めて部下の申請を承認する人

  • 年に一度、重要なルールを確認する必要がある全社員


対象者が明確になると、説明する用語の範囲や、事例の難しさを決めやすくなります。誰向けか分からないまま作り始めると、初心者には難しく、経験者には物足りない教材になりがちです。


学習後にしてほしい行動を一つ決める


元資料と一緒に伝えたいのが、教材を見た後に何ができるようになってほしいかです。


「商品を理解してほしい」「ルールを知ってほしい」という目的だけでは、どこまで説明し、何を問題で確認するのかを決めにくくなります。実際の仕事で行ってほしいことまで考えると、教材の出口が見えてきます。


たとえば、次のように表します。


  • 顧客の相談内容を聞き、三つの商品の中から合うものを選べる

  • 不審なメールに気づき、リンクを開かずに決められた窓口へ報告できる

  • 申請に必要な書類を確認し、不足があれば申請者へ戻せる

  • 設備の異常を示す兆候に気づき、作業を止めて責任者へ伝えられる


最初の教材では、行動を一つにしぼると内容をまとめやすくなります。関連する知識をすべて入れるのではなく、その行動に必要な説明を選ぶためです。



資料に書かれていないことを伝える


研修資料や業務マニュアルには、担当者が普段、口頭で補っている説明が残っていないことがあります。


「ここは新人がよく間違える」「この条件では別の部署へ相談する」「お客様には、この言葉で説明した方が伝わりやすい」。こうした情報は、教材を実務へつなげるうえで大切です。


依頼前に長い原稿を作る必要はありません。次のような点を、箇条書きのメモにしておくだけでも役立ちます。


  • 研修でいつも補足していること

  • 学習者からよく出る質問

  • 間違えると影響が大きいこと

  • 標準とは異なる対応が必要な場面

  • 最近、ルールや手順が変わったこと


思い出せない場合は、制作時の聞き取りで一緒に整理できます。PowerPoint研修で講師が話していた内容を取り出す方法は、「PowerPointの研修資料をeラーニング化する方法」でも紹介しています。



使いたい形式と利用場面を共有する


教材をどこで、どのように使うかによって、適した形は変わります。


配属前に一人で見る教材なのか、集合研修の前に基礎を学ぶ教材なのか。朝礼で短く確認するのか、eラーニングシステムで受講させるのかによって、動画の長さや画面の作り方、確認問題の置き方が変わります。


利用する仕組みが決まっている場合は、対応できるファイル形式も確認しておきましょう。MP4動画を登録できるのか、PowerPointで社内修正したいのか、問題データを別に登録するのか。SCORM形式など、特別な形式が必要な場合は、早い段階で伝える必要があります。


利用場面がまだ決まっていないときは、無理に形式を選ばなくても構いません。「新入社員が配属前に一人で学ぶ」といった使い方を共有すれば、制作側から形式を提案できます。



内容を確認できる人を決める


制作会社は、資料を読みやすい教材へ組み立てることができます。しかし、その説明が現在の業務に合っているかを、外部だけで判断することはできません。


そこで、社内で内容を確認する人を決めておきます。教育担当者が窓口になり、現場責任者が業務内容を確認する形でもよいでしょう。規程や法令に関わる教材なら、該当する管理部門にも確認してもらいます。


確認する人が複数いる場合は、意見を一つにまとめてから制作側へ伝えると進めやすくなります。個別に異なる意見が届くと、どれを採用するかの判断に時間がかかるためです。


制作を依頼するときには、少なくとも次の二つを決めておきます。


  • 制作会社とのやり取りをまとめる人

  • 教材の内容を最終的に確認する人


同じ人が担当しても、別の人が担当しても構いません。大切なのは、誰が判断するのかが分かっていることです。



依頼前にそろえたい七つの情報


ここまでの内容をまとめると、研修教材の制作を相談するときには、次の七つが分かると話を進めやすくなります。

項目

伝える内容

基準となる資料

教材の中心にしたい資料

資料の状態

最新版か、確認が必要な箇所があるか

対象者

誰が学ぶのか、どこまで経験があるか

学習後の行動

何ができるようになってほしいか

補足情報

よくある質問、失敗、例外、注意点

利用場面

いつ、どこで、どのように使うか

確認者

誰が内容の正しさを判断するか


七つすべてが決まってからでなければ相談できない、という意味ではありません。空欄があれば、制作前の打ち合わせで確認すべきことが分かります。


相談の段階では、「資料はあるが、対象者と範囲を決められていない」「この資料が最新版か、現場の確認が必要」と伝えるだけでも十分です。決まっていないことを共有することも、大切な準備の一つです。



制作側へ任せられることと、社内で決めること


研修教材の制作を外部へ依頼すると、構成、原稿、スライド、音声、確認問題などの制作を任せられます。元資料を読み取り、学習者が理解しやすい順番へ組み直すことも、外部の専門性を活かせる部分です。


一方、教育の目的や、業務上の正しさまで外部へ預けることはできません。何を身につけてほしいのか、どの手順を正式なものとするのかは、社内で判断します。

制作側が支援できること

社内で判断すること

元資料の整理と構成案

教材化する目的と対象者

分かりやすい説明や画面

正式に採用する業務内容

ナレーションや問題の原案

例外対応や判断基準の正しさ

修正内容の反映と納品

最終確認と公開の承認


この役割分担を先に共有すると、「外注したのに社内作業が多い」という行き違いを防ぎやすくなります。内製と外注の違いは、「研修教材は内製か外注か」でも整理しています。



資料が整っていないときこそ、範囲を小さくする


元資料が古い、情報が分散している、担当者の頭の中にしかない説明が多い。このような状態で、長い研修コースを一度に作ろうとすると、確認する範囲も大きくなります。


まずは、資料の中から一つのテーマを選び、短い教材を一本作る方法が現実的です。


たとえば、顧客対応マニュアル全体ではなく、「初回問い合わせで確認する三つの項目」にしぼります。社内規程のすべてではなく、「申請前に確認する手順」を扱うこともできます。


小さな教材を作ると、どの情報が足りないのか、誰の確認が必要なのかが見えてきます。完成した教材を実際に使えば、学習者から新しい質問も集まるでしょう。


その結果を次の教材へ戻すことで、資料が完全に整っていない状態からでも、教育の仕組みを育てられます。



完成した資料を待つより、現在地を共有する


研修教材の制作を依頼するとき、元資料を教材の形まで整える必要はありません。


基準となる資料を選び、現在も使える内容かを確認する。誰が学び、学習後に何をしてほしいのかを伝える。資料にない補足や、確認が必要な箇所も共有する。ここまで分かれば、教材の構成を考え始められます。


足りない情報があること自体は、依頼の妨げではありません。どこが決まっていて、どこを一緒に整理したいのかが分かれば、打ち合わせの目的が明確になります。


資料を完成させてから教材化するのではなく、現在ある資料と現場の知識を持ち寄り、学べる形へ整えていく。その進め方であれば、教育担当者だけに準備の負担を集めずに、最初の教材づくりを始められます。



今ある資料から、教材を一本作りたい方へ


当社では、既存の研修資料や業務マニュアルをもとに、音声付きスライド教材と確認問題を制作する「社内資料の教材化パッケージ」を提供しています。


標準パッケージでは、一つの元資料を確認し、45分のオンラインヒアリングで対象者や学習目標、資料にない補足を整理します。そのうえで、5〜8分の音声付き教材と確認問題5問を制作します。


資料が教材化に向いているか、どのテーマにしぼるとよいかが決まっていない段階でもご相談いただけます。まず完成した教材を一本作りたい場合の選択肢としてご活用ください。



教材にする資料や業務がまだ見えていない場合は、無料の教育資産化診断で、現在の状態から確認できます。


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